2004 Fiscal Year Annual Research Report
植物ゲノムにおけるメチル化可変領域の網羅と育種形質との対応
Project/Area Number |
15380001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
貴島 祐治 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60192556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 芳雄 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (70109528)
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Keywords | メチレーション / イネ / キンギョソウ / トランスポゾンレィスプレイ / トランスポゾンTam3 / 温度反応 |
Research Abstract |
イネの近縁種をもちいてMITE-トランスポゾンディスプレーを行ない、メチル化状態の解析を昨年に引続いて行なった。イネ及びその近縁種9系統の間でメチル化状態が同一の(すべてがメチル化されているかされていないか)DNA配列およびメチル化状態が異なるDNA配列を抽出し、それら塩基配列を分析した。イネゲノムの情報を基に合計100断片を12本の染色体にマップした。さらにマップされた近傍1000bp以内に存在する遺伝子を特定した。これらの領域でメチル化の違いに基づいた遺伝子発現の差違を生じる可能性を今後調査する必要があろう。 一方、種々の反復配列をプライマーにディスプレーを行なった。反復配列は一般にメチル化を受けやすいと言われている。MITEの他SINEやセントロメアに局在するレトロトランスポゾン等転移性反復配列と考えられるものを対象に近傍のメチル化状態を調査した。反復配列近傍でのメチル化の発生はその種類によって大きな差違が認められた。セントロメアに存在するRIRE7ではメ身チル化断片の出現頻度が著しく高く、一方反復数が5000をこえるMashuではメチル化出現頻度がゲノムの平均の半分と少ないことが判明した。このことは、反復配列のメチル化は必ずしもそのコピー数とは符合しないことを示すものである。今後イネのメチル化領域と遺伝子発現との関係や反復配列におけるメチル化が形質や遺伝子の発現とどのように関連するのか調査を行なう。 キンギョソウのトランスポゾンTam3に生じるメチル化の変化は温度によって変化する。この変化はTam3の活性と負の相関がある。本年度Tam3のメチル化の変化が、Tam3への転移酵素の結合によって生じることを明らかにした。Tam3への転移酵素の結合は複製直後、メチル化酵素がTam3に結合する前に起こる。したがってTam3に生起するメチル化の変化はそのDNAへ結合するタンパク質の挙動に影響を受ける二次的な反応であることが明らかになった。
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Research Products
(7 results)