2005 Fiscal Year Annual Research Report
植物ゲノムにおけるメチル化可変領域の網羅と育種形質との対応
Project/Area Number |
15380001
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
貴島 祐治 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60192556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 芳雄 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (70109528)
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Keywords | メチレーション / イネ / キンギョソウ / トランスポゾンディスプレイ / トランスポゾンTam3 / 温度反応 |
Research Abstract |
昨年度、転移因子は多様なメチル化状態のゲノム配列内に挿入していることが予備実験から推測できた。本年度は、レトロトランスポゾン5種、レトロポゾン1種、トランスポゾン7種、ヘリトロン1種、未同定因子1種、合計14種類の反復配列に由来するプライマーを用いて、メチル化状態をトランスポゾンディスプレイ法を基に解析した。この方法では、各転移因子の近傍50bpから800bp内のCCGG配列におけるメチル化状態を観察できる。イネおよび野生イネ9系統を用いて得られた結果から、各転移因子近傍のメチル化程度はこれら系統間で似た傾向を示した。すなわち各転移因子は、それぞれメチル化程度を異にする固有のゲノム環境下に挿入しており、因子内のコピー間ではこのメチル化は一定の頻度で生じている(大きな誤差は少ない)ことを明らかにした。また、転移因子からの距離に応じて、メチル化パターンが変化するものも多く見出され、転移因子が周辺のメチル化の変化に影響を与えている可能性が示唆できた。反復配列は、一般に強くメチル化されていると考えられているが、調査した因子の中には、その配列に近づくにつれメチル化のレベルの低下するものも見出され、反復配列が一様にメチル化の標的となるとは言えない事例を挙げることが出来た。これらの結果は、DNAのメチル化が転移因子の万能な制御システムになっているのかどうか考え直さざるをえないことを示している。しかし、反復配列の挿入位置とそのメチル化環境には特異的な関連性が見出され、これら転移因子のメチル化レベルが近傍の遺伝子発現に少なからず影響を与えていると考えられる。昨年トランスポゾンを指標に単離した100種類のメチル化の可変断片はまさに、トランスポゾンが近傍のメチル化を変化させることを示すものであり、今後形質に関連したメチル化断片を単離することが出来ると期待される。
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Research Products
(4 results)