2003 Fiscal Year Annual Research Report
東チベット三江地域はソバ、ダッタンソバの起原地か-その遺伝学的研究-
Project/Area Number |
15380005
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大西 近江 京都大学, 農学研究科, 教授 (20109044)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 康夫 京都大学, 農学研究科, 助手 (70293917)
|
Keywords | 中国南西部三江地域 / ダッタンソバ / 野生ソバ / AFLP / アロザイム |
Research Abstract |
科研報告書 研究の要約 1998年以来探索してきた中国南西部三江地域における野生ソバ(F.esculentum ssp.ancestrale)、生ダッタンソバ(F.tataricum ssp.potanini)の種子標本を整理した。 野生ソバ7標本、野生ダッタンソバ20標本が採集されていた。また栽培ソバ、栽培ダッタンソバもそれぞれ6,10標本に達した。 これらの標本を用いて、アロザイム変異およびAFLP変異の分析を行い、栽培ソバと野生ソバ集団間の系統樹を作成した。その結果によるとアロザイム、AFLPいずれを用いても栽培ソバの各地集団は互いに非常に近縁であり、三江地域の野生ソバが栽培ソバにもっとも近縁であるという結果を得た(小西・大西 未発表)。ダッタンソバについてはすでにTsuji and Ohnishi (2000,2001)がAFLPを用いて、またOhnishi (2000,2002)がアロザイムを用いて、三江地域の野生種において始めて栽培ダッタンソバと同じ遺伝子型が出現していることを示した。これらの実験結果は三江地域が栽培ソバ、栽培ダッタンソバの起原地ではないかということを示唆している。 しかしながら、もし栽培ソバと野生ソバの間で遺伝子交流があるとすると、上記の結果は遺伝子交流の結果をしめすものであり、必ずしも起原地であることを意味しない。そこで、野生ソバと栽培ソバの系統関係を遺伝子交流も考慮に入れて分析できる遺伝的マーカーとしてソバのマイクロサテライト(SSR)の開発に取り組んだ。これまでに開発されていた5つのSSRマーカーに26のマーカーを付け加えることができた。各々のマーカーのために設定したプライマーはPCRにより1本のバンドに対応するDNAを増幅し、このバンド(SSR遺伝子座)は栽培ソバ集団間で変異が著しいことが判明している(Konishi et al.,2004)。 来年度において、このSSRマーカーを用いて栽培ソバ、野生ソバの分析を行い、それらの間の系統関係を詳しく分析する。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Ohmi Ohnishi: "Wild buckwheat speacies in the Three River Region of southernwest China"Proceedings of 9^<th> Internatinal Buckwheat Symposium. (2004)
-
[Publications] K.Yamane, O.Ohnishi: "Speciation of Fagopyrum tataricum inferred from the molecular data"Proceedings of 9^<th> Internatinal Buckwheat Symposium. (2004)
-
[Publications] T.Konishi et al.: "Development of microsatellite markers for common buckwheat"Proceedings of 9^<th> Internatinal Buckwheat Symposium. (2004)