2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15380023
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河鰭 実之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (10234113)
|
Keywords | トマト / 師管液 / 木部液 / 糖濃度 / ヒートガードリング |
Research Abstract |
トマト果実へ流入する水と糖の量の日変化を推定するため、師部液のスクロース濃度の日変化と果実成長の日変化とを調べた。 開花2週間後のトマトを12時聞日長,昼/夜温23/16℃,PPFD400mol/m/sの人工気象室に入れ,開花3週間後に師管液の糖濃度を測定した。果柄部を切り取り、切り口から流出する液を2時間間隔で24時間にわたって採取した。これを師管液と木部液の混合液とした。次に果柄をヒートガードリングして,同様に2時間間隔で24時間にわたり切り口からの流出する液を採取した,これを木部液とした。1日目に流出した木部液の流出量の日変化を2日目に流出した木部液の流出量と同様であると仮定し、これらの差し引きによって1日目に採取された篩管液の流出量を推定した.師部液の流出量とスクロースの流出量から師部液の糖濃度の変化を計算した。その結果,篩管液スクロース濃度は明期に入ると増加し続け,8時間で最大値6%に達し,その後徐々に低下して,暗期の終わりには2%まで低下した. 一方果実の生長を、変位計を用いて経時的に測定したところ、明期のはじめに一時的に速くなった後に再び通常の成長速度にもどって一定となり暗期に入ると同時に一時的に低下したのちに通常の成長速度に戻った。平均的な果実の成長速度は、昼・夜温が23/16℃では日中のほうが速かったが、昼・夜温を20℃一定とすると成長速度に差は認められなかった。したがって、果実成長速度は師管液糖濃度とは関係なく、気温のみで決定されている。果実の生長は水の流入を示すので、師管液糖濃度が低い夜間にもかなりの水が流入していることを示した。それにも関わらず果実の炭水化物濃度が高く維持されていることは、積極的に果実から水を取り除く機構があることを示唆する。
|