2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15380023
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河鰭 実之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (10234113)
|
Keywords | トマト / ソース / シンク / マイクロアレイ / インベルターゼ / 篩管液 / 糖濃度 / キシログルカンエンド転移酵素 |
Research Abstract |
トマトの一般的な栽培環境下では,ソース能力がシンク能力を上回っているため,シンクが乾物生産の制限要因となり,葉の潜在的光合成能力は十分に発揮されていないと考えられる.本研究では,ソース過剰条件において果実糖濃度を制限している要因を調査するため,摘葉によってシンク・ソース比を変え,それが果実糖濃度や果実における遺伝子の発現プロファイルに与える影響を調査した. 養液栽培しトマト‘サターン'を用いた.第2果房に1果を残して他の果房、果実は取り除き、葉数を12葉に摘葉した.開花2週間後に葉数を2,4,または12葉とし,開花3週間後に調査を行った. 2葉区では果実の生長が抑制されただけでなく,果実糖濃度が1.7%まで低下した.一方,8葉区と12葉区はいずれも約5%であり,果実糖濃度が上限に達していると考えられた.篩管液糖濃度は,2葉区より8葉区の方が数倍高く,12葉区は8葉区よりわずかに高かった.果実糖濃度と篩管液スクロース濃度との間には高い相関があり篩管液スクロース濃度が果実糖濃度を決定する主要因であることを示した。しかし、8葉区と12葉区とを比較すると還元糖濃度が12葉区のほうがやや低く、スクロースの蓄積がみられた。このことは,12葉区でスクロースの加水分解が抑制されていることを示唆した. cDNAアレイを用いて,遺伝子発現プロファイルを調べた結果,12葉区ではキシログルカンエンド転移酵素(XTH)や液胞型インベルターゼの発現低下がみられた.ソースが過剰な条件では,インベルターゼによるスクロースの加水分解や細胞壁の伸長が抑制されている可能性があった.
|