2004 Fiscal Year Annual Research Report
ブドウ雌ずい中の花粉管誘導組織(TT)細胞間隙マトリックスの生化学的特性
Project/Area Number |
15380025
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岡本 五郎 岡山大学, 農学部, 教授 (30026611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 健 岡山大学, 農学部, 助教授 (80238378)
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Keywords | TT-ECM / 花粉管生長 / ブドウ / 雌ずい / 活性物質 |
Research Abstract |
ブドウ雌ずい中の花粉管誘導組織から細胞間隙マトリックス(TT-ECM)を抽出し、それに含まれる花粉管生長調節物質を探索した。本年度は、特にTT-ECM以外の夾雑物を少なくするため誘導組織を切り出す方法を改善すること、花粉管成長に対する活性の評価法を改善することに努めた。誘導組織の切り出しは、マニピュレータを用いて隔壁部分のみを切り取る方法にした。活性の調査には、in vitroで花粉管を発芽させてから培地に抽出物を添加し、その後の花粉管生長を比較する方法に改めた。これらの手法改善により、はるかに正確にTT-ECMの花粉管生長に対する活性が検定されるようになったと思われる。また、TT-ECMの花粉管生長調節の実態を知るために、雌ずい内で伸長を停止した花粉管の先端形状を調査した。 まず、開花期に2倍体3品種(Muscat of Alexandria, Cabernet Sauvignon, GA処理及び無処理のDelaware)と4倍体2品種(4n-Muscat, Kyoho)の雌ずいから、上記の方法で隔壁組織を取り出し、NaClとMgCl_2でアポプラスト抽出した。このTT-ECMを透析チューブで脱塩後、花粉管生長アッセイをした結果、今年も4倍体品種で花粉管生長促進活性が認められた。その活性物質の単離・同定のために、現在QIカラム、ゲルろ過カラムで分画中である。一方、雌ずい内での花粉管先端の形態を詳細に観察した結果、膨張、破裂、コイル化、方向異常などが認められ、その構成比率は品種によって異なった。特に、GA処理したデラウエアでは伸長停止した花粉管先端はほとんどすべてコイル状を呈した。TT-ECM抽出物をin vitroで発芽した花粉管に与え、その後の花粉管先端の形態変化を調査したところ、いずれの品種でもMgCl_2抽出物に雌ずい内と同様な異常を引き起こす傾向が認められた。したがって、MgCl_2抽出物に雌ずい内での花粉管生長を支配している物質が含まれている可能性が高い。ただし、デラウエアではTT-ECMの抑制活性が強く、雌ずい内部と同様のコイル化を引き起こす画分を見出すことができなかった。
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Research Products
(2 results)