2003 Fiscal Year Annual Research Report
香酸カンキツにおける細胞質―核雄性不稔に関する研究
Project/Area Number |
15380026
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
若菜 章 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (10158579)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 行生 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (60253514)
|
Keywords | 香酸カンキツ / 雄性不稔 / タペート細胞 / 核-細胞質遺伝 / 分子マーカー |
Research Abstract |
(1)雄性不稔雑種個体の出現頻度調査と細胞学的調査 約30交配組合せから得た交雑実生について雄性不稔のタイプと程度を調査した.雄性不稔実生における雄性不稔程度は稔性,半稔性および不稔性に分けられ,パラフィン切片観察によって(1)無花粉のう,(2)有花粉のう・無花粉,(3)極微量花粉,(4)微量花粉量および(5)正常花粉量に分けられた. やくの発達過程の細胞・組織学的調査から,(1)は胞原細胞期に,(2)は減数分裂期前に,(3)は減数分裂期後に急速に退化が生じることが観察された.これらの退化現象は特にタペート細胞の退化と連動しており,タペート細胞が重要な役割を持っていることが示唆された. 本年度に開花した雑種実生群の結果を加えて雄性不稔個体の分離を予備調査したところ,稔性実生:不稔性実生」の分離比が1:0であったのは,スダチを種子親としたすべての交配組合せ,ユズ等を用いた交配組合せの一部に認められた.その他の交配組合せでは1:1,3:1,15:1などに近い分離が認められた.本年度以降の開花をまってさらに詳細に分離比の検定を進める予定である. (2)雄性不稔遺伝子の連鎖分析とバルク法を用いたタギング 雄性不稔実生が分離する組合せで実生の葉のアイソザイム分析を5遺伝子座について行ったが,連鎖は認められなかった.また,ハナユ×カボス及びハナユ×クサイライムのそれぞれの実生群から雄性不稔10実生と稔性10実生のバルクを供試してランダムプライマーをによるPCRを行って多型断片の検出を行ったが,現在のところ,雄性不稔遺伝子のタギングには到っていない. 本年度5月に,幼樹開花性を有する雄性不稔のNo.16実生(ハナユ×ユズ;単胚性)にハナユとユズを戻し交配してBC1実生を作成した.これらの3ヵ月実生は現在開花中であり予想通り雄性不稔実生が分離している.次年度にはこれらの実生も分析材料として供試する予定である.
|