2004 Fiscal Year Annual Research Report
香酸カンキツにおける細胞質-核雄性不稔に関する研究
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15380026
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
若菜 章 九州大学, 農学研究院, 助教授 (10158579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 行生 九州大学, 農学研究院, 助手 (60253514)
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Keywords | 香酸カンキツ / 細胞質-核雄性不稔 / 無核 / PAPD / 幼樹開花 / 連鎖 / 雌性不稔 |
Research Abstract |
1.雄性不稔雑種個体の雄性不稔の形態学的及び細胞学的調査 新たに本年度初開花した雑種個体を含めて,葯の発育程度を形態学的及び細胞学的に観察・調査し,ウンシュゥミカンやその雑種品種群に見られる葯退化はほとんどないこと,雄性不稔の発生のほとんどが胞原細胞期から減数分裂前期にかけて起こること,及び比較的後期に不稔性が生じる場合にもタペート細胞の発達が著しく悪いことを再確認した.最終年度ではさらに個体数を増やして雄性不稔タイプを分類する予定である. 2.雄性不稔雑種個体の出現頻度調査 新たに本年度初開花した雑種個体を含めて(酢ミカン類の31交配組合せ中、18交配組合せに雄性不稔個体が出現)雄性不稔性の遺伝解析を進めた.さらに,ハナユ×ユズから得た雄性不稔のNo.16雑種個体(幼樹開花性)にハナユとユズを戻し交配した結果,ユズを戻し交配した雑種実生の一部が幼樹開花性を示し,これらの実生では雄性不稔と稔性が1:1に分離することを確認した.以上の結果から,現在までのところ,雄性不稔は劣性の1遺伝子または2遺伝子によって発現し,ほとんどの酢ミカン品種が不和合性遺伝子に関してヘテロであること,雄性稔性回復因子をダイダイ類品種,スダチ及びライムが細胞質に保有していることがかなり確実になってきた.来年度は,さらに新たな雑種個体の初開花を待って遺伝解析を進めると共に,ハナユ×ユズから得た雄性不稔のNo.16雑種個体(幼樹開花性)を用いて,遺伝様式の不明瞭なカンキツを交配して遺伝様式を明らかにしていく予定である. 3.雄性不稔遺伝子のDNAマーカーの探索 アイソザイム分析では連鎖マーカーが認められなかったが,多数のユニバーサルプライマーを用いたバルク法による雄性不稔遺伝子のタギングでは現在までに4候補断片を見出している.これらがどのように雄性不稔遺伝子と連鎖しているのかは調査中である.最終年度はさらに他のプライマーも用いて,雄性不稔と連鎖する複数のRAPDマーカーを検索する予定である.
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Research Products
(1 results)