Research Abstract |
まず,カノコユリにおける球根形成の制御法を確立した.すなわち,in vitro,MS培地条件下で,(1)25℃では球根形成が起こるが,15℃では起こらない,(2)25℃+ABAでは球根形成がさらに促進される,および(3)25℃+フルリドンでは抑制されることを明らかにした. 次ぎに,これらの条件下における遺伝子発現を1週間おきに50プライマーによるディファレンシャルディスプレイ分析により比較した.球根形成条件下では39の,また,球根非形成条件下では42の特異的遺伝子断片が検出された.球根形成条件下で発現した39のうちの5個の遺伝子断片は,すでにヒヤシンスの球根形成条件である低温処理により発現する断片と共通していた.さらに,その5個のうちの3個は,ヒヤシンスのもう一つの球根形成条件である無低温+ABA処理により発現する断片とも共通していた. 一方,ネギ属植物においては,アグロバクテリウムを利用した遺伝子組み換え系の確立を目的として,リーフディスク法および直接接種法を検討した.供試材料には,ネギ,タマネギ,ニラの3種を用い,アグロバクテリウムとして,野生株A13を用いた.リーフディスク法では,アグロバクテリウム接種後,毛上根の発生はみられず,再分化個体は得られなかった.直接接種法では,ネギおよびタマネギでアグロバクテリウム接種部位から根もしくは分けつの発生がみられ,再分化個体が得られた.現在,再分化個体が組み換え体であるかをPCR法により確認している.また,カルス法による細み換え休作出の検討のため,現在,生長点由来のカルスを増殖中である.
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