2003 Fiscal Year Annual Research Report
冷温高湿貯蔵におけるモモの香り消失・保持機構の解明と匂いセンサー評価法の開発
Project/Area Number |
15380029
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
田中 敬一 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 果樹研究所生理機能部, 室長 (00355380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立木 美保 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 果樹研究所生理機能部, 研究員 (10355381)
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Keywords | 冷温高湿貯蔵 / モモ / 香気成分 / ヘッドスペース-ガスクロマトグラフ質量分析 / 液液抽出ガスクロマトグラフ質量分析 |
Research Abstract |
目的:従来の貯蔵法に比較して長期間、高品質に果実を貯蔵できる冷温高湿貯蔵法に大きな期待が寄せられているが、モモの場合は、冷温高湿庫で長期に貯蔵するとモモ特有の甘い芳香が、徐々に消失することが認められ、その消失機構の解明が求められている。そこで、ヘッドスペース-ガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS)法及び液-液抽出GCMS法を用いてモモの貯蔵中の香りの変化を解析する。 方法:冷温高湿庫で貯蔵したモモ果実から香気成分をジエチルエーテルで抽出し、抽出画分をGCMSを用いて成分同定と定量を行った。また、Tenaxにヘッドスペース香気成分を捕集し、GC-MSにより成分の同定と定量を行った。 結果:液液抽出GCMS分析の結果、冷温高湿庫に貯蔵したモモでは、貯蔵初期にエステル類(特にethyl acetate)が増加し、貯蔵期間が長くなると減少した。C6化合物は、貯蔵期間中あまり大きな変化は認められなかったが、cis-3-exen-1-olは、貯蔵初期に多く、貯蔵期間が長くなるにれて減少した。ラクトン類は、品種によって異なり、'あかつき'では貯蔵期間が長くなると減少した。ヘッドスペニスGC-MS分析の結果、'あかつき'を冷温高湿庫に貯蔵するとラクトン類は、貯蔵期間が3週間を過ぎると急速に減少した。モモ特有の香気成分は、2週間目まではあまり大きな変化は認められなかったが、貯蔵期間が3週間になると急速に減少し、dehydro-β-iononeは検出されなかった。エステル類も貯蔵3週間では香気成分の数、量ともに減少した。 モモを冷温高湿庫に3週間貯蔵するとヘッドスペースのモモの香りは失われた。その理由について、液-液抽出の結果とヘッドスペースの結果を比較検討を行ったところ、貯蔵期間が長くなると低沸点の香り成分が減少し、高沸点の成分が増加するために、モモ特有の香りが失われるものと考えられた。
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