2004 Fiscal Year Annual Research Report
ブロモウイルスの増殖に関与するシロイヌナズナ遺伝子のクローニングと機能解析
Project/Area Number |
15380035
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
三瀬 和之 京都大学, 農学研究科, 助教授 (90209776)
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Keywords | 植物ウイルス / ブロモウイルス / シロイヌナズナ / 突然変異体 / 病徴 / 染色体 / エチレン経路 / 形質転換植物 |
Research Abstract |
1.Col-0由来でSBLV感染が遅延する変異株(2433B)が選抜されている。2433Bと他のアクセッション(Nd-1)とのF_2植物を用いた解析から、感染遅延の原因遺伝子座は第4染色体に座乗することが明らかとなった。また、マーカーが整備されているLer/Colの系を利用するため、Lerと2433Bを交配したF_2種子を準備した。2.Col-0とPla-0を交配し、そのF_2種子から植物の生長がCol-0並に早く、かつウイルスにかかりにくい形質を持つライン(PC7)が選抜されている。本年度の研究から、SBLV増殖の遅延に関与する原因遺伝子座は複数存在することが示唆された。3.SBLV感染によって激しい病徴を示すアクセッションS96において、この表現型に関与する不完全優性の核内単一遺伝子座SSB1が同定されている。前年度までにSSB1遺伝子座は第4染色体上の遺伝子マーカーCAT2とnga1107の間にマッピングされた。この領域に存在するR遺伝子様遺伝子をgenomic PCRによって単離した。現在、これら遺伝子を導入した形質転換植物をCol-0とS96の間で相互に作製し、当該遺伝子であるかどうかの検証を行っている。これまでにS96の病徴発現にサリチル酸の経路が関与していることが示唆されている。本年度の研究から、エチレン経路を阻害する優性変異etr1-1は逆に病徴を激しくさせることから、エチレン経路は病徴発現を抑制的に制御している可能性があることが示唆された。4.これまでに、シロイヌナズナCol-0に全く感染しないBMVが、CPR5遺伝子の機能が失われた変異体において効率よく全身感染することが明らかとなっている。CPR5遺伝子の機能を解析するため、Col-0からCPR5の全長cDNAクローンをRT-PCRによって取得した。このcDNAを35Sプロモーターの制御下に置き、cpr5-2を形質転換した。現在までのところ形質転換体では、cpr5-2の表現型が相補された。すなわち、トライコームは正常に復帰し、自然病斑は出現せず、またBMVに対する感受性は野生型のCol-0と同様に失った。このことから、BMVに対するシロイヌナズナの抵抗性にCPR5が関与していることが示された。
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Research Products
(10 results)