2003 Fiscal Year Annual Research Report
植物感染における基本的親和性関係成立の分子機構:宿主特異的毒素生産菌を例として
Project/Area Number |
15380036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
尾谷 浩 鳥取大学, 農学部, 教授 (50032305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 信寛 鳥取大学, 連合農学研究科, 教授 (30127469)
中島 廣光 鳥取大学, 農学部, 教授 (40144646)
児玉 基一朗 鳥取大学, 農学部, 助教授 (00183343)
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Keywords | 宿主特異的毒素(HST) / HST生合成遺伝子 / CD染色体 / 病原菌受容化 / 葉緑体シャペロニン / 毒素受容体 / 防御関連遺伝子 |
Research Abstract |
1.宿主特異的毒素(HST)生産菌の探索とHSTの単離・構造決定 アブラナ科植物黒斑病菌ではHSTとしてdestruxin Bが報告されているが、destruxin Bとは別のHST様物質の存在が明らかとなり、現在、本物質の病理学的役割の検討とその単離を進めている。一方、アブラナ科植物黒すす病菌のHST(AB毒素)は宿主植物を介して生産されるタンパク質であるため単離が困難であったが、宿主のAB毒素生産誘導因子が明らかとなり本誘導因子処理によるAB毒素生産法を確立した。現在、本法を用いてAB毒素の単離を進めている。 2.病原菌における病原性獲得の分子機構解析 トマトアルターナリア茎枯病菌のHST(AAL毒素)生合成遺伝子としてポリケチド合成酵素(PKS)遣伝子ALT1を単離し、ターゲティング実験により本遺伝子が毒素生産および病原性に必須であることを証明した。さらに、ALT1のフランキング領域を解析し、ALT1を含め10個の遺伝子がクラスター形成していることを明らかにした。また、ALT1を含む遺伝子クラスターは、本菌のみが特異的に保有するconditionally dispensable (CD)染色体に座乗しており、病原性遺伝子の水平移動の可能性を示唆した。 3.宿主植物における病原菌受容化の分子機構解析 HST(AM毒素)生成菌のリンゴ斑点落葉病菌に対するリンゴの感受性は葉緑体シャペロニンαサブユニット(cpn-α)のホモログ(SA60)の発現と密接に関与し、SA60はAM毒素の受容体である可能性が示唆された。さらに、その遺伝子解析から、SA60はcpn-α遺伝子の1塩基の変化によって生じたことを明らかにした。一方、トマトを用いてAlternaria属病原菌の感染において発現する防御関連遺伝子を解析し、PRタンパク質遺伝子など複数の遺伝子発現を検出した。現在、これら遺伝子の詳細な発現パターンとHST処理によるその制御を解析中である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 赤松 創: "植物病原糸状菌の病原性制御と宿主の耐病性強化の展望"植物感染生理談話会論文集. 39. 111-129 (2003)
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[Publications] Aremu, E.A.: "Specific inhibition of spore germination of Alternaria brassicicola by fistupyrone from Streptomyces sp. TP-A0569"Journal of General Plant Pathology. 69. 211-217 (2003)
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[Publications] Hasegawa, M.: "Behavior of Erwinia ananas transformed with bioluminescence genes on rice plants"Journal of General Plant Pathology. 69. 267-270 (2003)
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[Publications] 秋光 和也: "植物ミトコンドリア病の謎に迫る:プロセッシングの有無が宿主特異的ACR毒素に対する感受性の鍵を握る"化学と生物. 42. 81-84 (2004)
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[Publications] 尾谷 浩: "Alternaria属植物病原菌の宿主特異的毒素と特異性発現の分子機構"化学と生物. 42. 230-235 (2004)
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[Publications] Aremu, E.A.: "Detection of fungi producing infection-inhibiting metabolites against Alternaria alternata Japanese pear pathotype from fungi inhabiting internal tissues of Japanese pear shoots"Journal of General Plant Pathology. 70(in press). (2004)
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[Publications] Tsuge, T.: "Conditionally dispensable chromosomes controlling pathogenicity of Alternaria alternata. In : Genomic and Genetic Analysis of Plant Parasitism and Defense Plants"APS Press (New York)(In press). (2004)