2005 Fiscal Year Annual Research Report
性を操る体内共生微生物によるハダニ類の性比異常と性特異的遺伝子の解析
Project/Area Number |
15380040
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
後藤 哲雄 茨城大学, 農学部, 教授 (60178449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 博明 独)農業生物資源研究所, チーム長 (40343991)
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Keywords | CLO細菌 / CFB細菌 / PCRプライマー / マイクロアレイ / 抗菌ペプチド / ダニ / Wolvachia |
Research Abstract |
本研究では、ハダニ類の性を操る微生物であるCLO細菌(Cytophaga-Flavobacterium-Bacteroidesグループ)の機能の解析および性特異的遺伝子の探索を目的として、次の点を検討した。 1.CLO細菌はダニや昆虫に広く感染しており、16SリボソームRNA遺伝子の配列に基づくPCR反応により、その感染の有無が調査されてきている。これまで、2種のプライマーが国外から発表されており、われわれのところでは、別の2種類のプライマーを設計して調査してきた。これまでの経験からCLO細菌の検出感度が必ずしも一定でないと思われれるところから、22種30系統のハダニに対し、4種のプライマーを用いてCLO細菌の検出を行った。プライマーごとに結果が異なる場合があり、プライマーの信頼性を至急調査する必要性が判明した。 2.細胞内共生細菌であるCLO細菌(Cardinium)が、Wolbachiaと同様の生殖異常を宿主に引き起こすという報告がされている。そこで、CLO細菌の感染が宿主細胞の遺伝子発現にどのような影響を与えるかを明らかにするため、マダニlxodes scapularisのCLO細菌を感染させたカイコ培養細胞と非感染細胞との間で発現量に差がある遺伝子をカイコcDNAマイクロアレイとカイコオリゴDNAマイクロアレイを用いて調査した。その結果、昆虫の免疫応答誘導に関わる抗菌ペプチド遺伝子数個の発現量が増加していた。また病原体に特有の構造であるpathogen-associated molecular pattern(PAMP)を認識するpattern recognitionreceptor(PRR)の発現量が2倍程度に増加していた。そのことから、宿主細胞はCLO細菌の細胞壁成分をPRRにより認識し、生体防御反応引き起こしていることが示唆された。
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Research Products
(3 results)