2006 Fiscal Year Annual Research Report
性を操る体内共生微生物によるハダニ類の性比異常と性特異的遺伝子の解析
Project/Area Number |
15380040
|
Research Institution | IBARAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
後藤 哲雄 茨城大学, 農学部, 教授 (60178449)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 博明 独立行政法人農業生物資源研究所, ユニット長 (40343991)
|
Keywords | Cardinium / ハダニ / CFB細菌 / PCPプライマー / 16S rDNA / 細胞質不和合性 / EST |
Research Abstract |
ハダニとその共生細菌であるCardiniumとの相互作用を明らかにするために調査研究を行い、以下の結果を得た。 1.Cardinium細菌検出プライマーの設計 ダニや昆虫に広く感染しているCardinium細菌は、自然界に広く分布するCFB(Cytophaga-Flavobacterium-Bacteroides)細菌に属している。そのため、ダニから検出する際、土壌や体表あるいは消化管内に生息するCFB細菌との識別が重要である。そのため、特異的なプライマーの開発が必要であったが、今回16Sr DNAの配列を利用し、これまでのものよりも、高感度で識別できるプライマーを設計した。 2.ダニからのCardinium細菌の検出 上記のプライマーを用い、ハダニ22種30系統を対象に、Cardinium感染を調査したところ、83%のダニで感染を認めた。これまでCardiniumの昆虫での感染率が6-7%であると報告されているので、このハダニでの感染は極めて高いといえる。すでにCardiniumがハダニの細胞質不和合性を引き起こしている例を報告しており、ウォルバキア細菌とともに、Cardinium細菌のハダニの生殖和合性に与える影響を広く調査する必要性が喚起された。 3.ESTからの性関連遺伝子探索 1万本以上のESTを解析したが、性や生殖に係わる遺伝子はとれなかった。今後も検討を続けていく予定である。一方、Cardinium細菌とWolbachia細菌を感染させたカイコオリゴDNAマイクロアレイを用いて宿主細胞の遺伝子発現への影響を調査した結果、Cardiniumでは、昆虫の抗菌ペプチド遺伝子の発現量を増加することわかり、このことから宿主の生体防御反応を引き起こしていることが分かった。Wolbachiaではそれらの遺伝子が発現することはなかった。
|
Research Products
(3 results)