2004 Fiscal Year Annual Research Report
鱗翅目昆虫における二型精子の意義と分化メカニズムの解明
Project/Area Number |
15380044
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
山舗 直子 酪農学園大学, 環境システム学部, 教授 (40112578)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐原 健 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (30241368)
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Keywords | 鱗翅目 / 二型精子 / 細胞分化 |
Research Abstract |
1.人工培養実験から 精巣シストの長期間培養系の実験において、今年度は両方の型の特徴をあわせもつキメラ精子束の誘導現象に的を絞った。有核精子束を導く系の初期の段階で、本来添加すべき体液を加えない培養液で培養すると、有核精子系列のものより小さい精母細胞が出現し、有核精子の形状をした核が前方に移動しているにもかかわらずサイズは無核精子並みであるキメラ精子束が生じた。これらは精母細胞の時期から分化の方向性を決めるしくみの存在を裏付ける現象の1つととらえている。 2.四倍体の実験から 成虫オスの貯精嚢において、無核精子は束から解離した状態で存在するが、有核精子は束の状態で存在する。これは人為的に誘導した不妊の四倍体オスでも同様であるが、四倍体では有核精子束が著しく少ない。四倍体蛹期の精巣内において、有核精子束のシスト細胞がはがれ、精子が解離している異常なものが存在していた。羽化後の精巣では、有核精子束は貯精嚢に移行したためにほとんど残っておらず、解離した精子束が多く残されていた。貯精嚢に移動した有核精子束はシスト細胞を欠いているが、不定形の物質で覆われている。シスト細胞にはゴルジ体や小胞体があることから、この不定形物質はシスト細胞の分泌によることが示唆される。この物質の分泌前にシスト細胞が消失すると、精子は束を維持できないものと考えられる。四倍体のシスト細胞では、ミトコンドリアが膨潤する異常な像が見られた。二倍体では、ミトコンドリアの膨潤は、有核精子束では見られないガ、無核精子束のシスト細胞に見られた。ミトコンドリアの異常は、シスト細胞崩壊の前兆と予想される。以上のことから、有核精子は束をなしていないと精巣から貯精嚢までの移送に支障があること、シスト細胞は束の維持機能に関与しており、その機能と細胞崩壊のタイミング調節が有核精子系列と無核精子系列で異なることが考えられる。
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Research Products
(4 results)