2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15380045
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
波多野 隆介 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (40156344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 治 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (10253519)
秦 寛 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教授 (30250492)
渋谷 正人 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (10226194)
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Keywords | 窒素降下物 / 温室効果ガス / メタン / アンモニウム / 硝酸 / 森林土壌 / 地球温暖化 / 窒素飽和 |
Research Abstract |
森林生態系において、窒素降下物が温室効果ガスに影響をおよぼすという報告がされている。しかしその報告例は窒素降下物量の多い地域でのもの(無機態窒素(DIN)>10kg N ha^<-1> y^<-1>)が多く、窒素降下物量の少ない地域でのものは少ない。また、温室効果ガスの動態を総合的に評価するためIPCCよりGlobal Warming Potential(GWP)の考え方が提案されている。しかし、森林生態系の研究では、CO_2、CH_4、N_2Oの研究は独立に行われる場合が多く、これまでGWPを用いて地球温暖化への寄与を明らかにした研究例がなかった。そこで、低窒素降下量が地球温暖化に与える影響を評価することを目的とした。 調査地は札幌市清田区の白旗山都市環境林内の5地点である。N_2O放出とCH_4吸収はクローズドチャンバー法を用いた。CO2吸収は、毎木調査とアロメトリー式によるNPPの推定と、土壌試料の培養による微生物呼吸の測定の組み合わせで推定した。無積雪期間の窒素降下量は0.8〜1.8kg N ha^<-1> y^<-1>であった。年間CH_4吸収は5〜7kgC ha^<-1> y^<-1>で、無積雪期間の窒素降下量とは有意な相関を示さなかった。しかし文献値との比較から、本調査地の高いCH_4吸収は、CH_4吸収を阻害することが知られている窒素降下物の量的な低さに起因すると考えた。N_2Oフラックスは地温や水分との相関を見せない典型的なバックグラウンド型の放出を示した。年間N_2O放出は0.02〜0.09kg ha^<-1> y^<-1>であった。無積雪期間の積算N_2O放出は、無積雪期間の窒素降下量と正の相関を示した。さらに、バックグラウンド型のN_2Oフラックスが報告されている文献値と比較しても、窒素降下量とN_2O放出の間に正の相関が確認できた。NEP(純生態系炭素固定量)は0.2〜2.1tC ha^<-1> y^<-1>であった。NEPは無積雪期間の窒素降下量と有意な正の相関を示した。また、CO_2換算したGWPで比較すると、GWPはNEPの成分が大半を占め、N_2OやCH_4の寄与は微々たるものであった。以上の結果から、本調査地において、窒素降下物は地球温暖化指数(GWP)に影響するが、樹木の成長速度への影響が最も重要な成分である事が分かった。
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Research Products
(2 results)
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[Book] 3rd International Nitrogen Conference - Contributed Papers2005
Author(s)
Nakahara, O., Yamagami, T., Koide, T., Sakai, T., Morishita, K., Hatano, R.
Total Pages
912
Publisher
Science Press, USA