2003 Fiscal Year Annual Research Report
低リン酸耐性植物の作出戦略―クエン酸放出能力の強化と根圏でのリン酸可溶化制御―
Project/Area Number |
15380050
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小山 博之 岐阜大学, 農学部, 助教授 (90234921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 和彦 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (10183302)
江澤 辰広 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (40273213)
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Keywords | クエン酸放出 / 酸性土壌 |
Research Abstract |
本研究では、単に遺伝子組換えによりクエン酸放出能力を強化した植物を作出するだけでなく、その形質が"実際のフィールド"で、本当に低リン酸耐性として発現するか否か評価することを目的としている。そのためには、植物-微生物-土壌が相互に作用する複雑系を対象として、十分な研究実績を持つ研究者が共同することが不可欠である。本年はこの観点から、以下の各点に関して研究を進めた。遺伝子組換え体の作成を担当する小山は、クエン酸放出型植物であるルーピンの分子生理学研究から、細胞質型NADP特異的イソクエン酸脱水素酵素の発現低下がクエン酸放出に関与することを明らかとし、シロイヌナズナで組換え体を作成した。土壌微生物系を担当する江澤は有機酸放出能の異なる植物に形成された菌根におけるリン酸獲得・輸送能を評価する実験系を確立するために、菌糸中の微量ポリリン酸の測定法およびリン酸輸送速度の測定法を確立した。また、愛知県幡豆町の酸性土壌から、pH3.3においても植物に感染し、リン酸を供給する能力を持つ耐酸性菌根菌数種を分離・同定した。クエン酸放出に伴う土壌の反応を、代表的な酸性土壌である黒ボク土を含めて調査検討を行なった。クエン酸の添加により、リン酸が可溶化するほか、多くの金属イオンが可溶化した。可溶化した時の形態を調べたところ、アルミニウムと鉄は腐植と結合体を作って存在していた。これらの金属と土壌中の腐植の錯体の一部が可溶化したものと判断した。次年度以降、これらの知見をもとに研究を進める。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ezawa T, Cavagnaro TR, Smith SE, Smith FA, Ohtomo R.: "Rapid accumulation of polyphosphate in extraradical hyphae of arbuscular mycorrhizal fungus as revealed by histochemistry and polyphosphate kinase/luciferase system"New Phytologist. 161. 387-392 (2003)
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[Publications] 木村和彦: "リチウムからウランまでの微量元素を測定する"科学と生物 Vol.41,No.12,779-781. 41(12). 779-781 (2003)
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[Publications] Kihara, T., Wada, T., Suzuki, Y., Hara, T., Koyama, H.: "Alteration of citrate metabolism in cluster roots of white lupin"Plant Cell Physiol.. 44. 901-908 (2003)