2004 Fiscal Year Annual Research Report
麹菌の制御遺伝子変異株バンクとマイクロアレイを用いた転写制御ネットワーク解析
Project/Area Number |
15380055
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
五味 勝也 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (60302197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 敬悦 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (50312624)
町田 雅之 (独)産業技術総合研究所, 生物機能工学研究部門, 主任研究官 (30358006)
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Keywords | マイクロアレイ / 麹菌 / 転写制御因子 / 遺伝子破壊 / 発現制御ネットワーク / 相同的組換え |
Research Abstract |
前年度に引き続き、麹菌マイクロアレイの解析手法の確立を図ると同時に、機能の推定できる制御遺伝子を対象に、遺伝子破壊または発現制御株を造成し、マイクロアレイを用いて野生株と変異株における遺伝子発現プロファイル解析を行うことによって転写制御ネットワークの一端を解明することを目的に研究を実施した。具体的には、(1)麹菌全ゲノム解析の結果より得られた遺伝子情報をもとに、11,000個の遺伝子を搭載したオリゴDNAアレイを作製し、再現性ならびに精度の高いアレイ解析手法を確立した。また、このオリゴDNAアレイを用いて、デンプン分解酵素遺伝子の発現に関与する転写因子amyRの遺伝子破壊株についてアレイ解析を行い、デンプン分解酵素以外の遺伝子の発現にも影響を及ぼすことを見出した。(2)-アミラーゼ遺伝子amyBプロモーターを利用した転写因子強制発現株を60以上の遺伝子について造成した。これらの強制発現株のうちプロテアーゼ活性が上昇した株についてアレイ解析を行ったところ、数種類のプロテアーゼ、ペプチダーゼ遺伝子の発現が増加しており、共通の制御ネットワーク下にあることを認めた。(3)麹菌をはじめとする糸状菌は一般に相同的組換えの頻度が低いため、遺伝子破壊株の取得効率が悪いことから、網羅的な転写因子遺伝子破壊株バンクの作製は困難である。最近、アカパンカビで非相同的組換えに関与する遺伝子ku70/ku80の破壊により、相同組換え頻度が高くなることが報告されたことから、麹菌ゲノム情報からku70及びku80ホモログを探索し、それらの遺伝子破壊株を造成した。遺伝子挿入破壊により得られたku70破壊株を用いてamyRの置換破壊を試みた結果、野生株に比べて4倍以上の頻度で破壊株が取得できたことから、相同組換え頻度が高くなった宿主株として使用可能であると考えられた。
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