2003 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌の生育に必須の細胞表層蛋白質を標的とする化学療法剤開発の基礎研究
Project/Area Number |
15380056
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
松山 伸一 立教大学, 理学部, 教授 (50183108)
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Keywords | 大腸菌 / 細胞表層 / 外膜 / 内膜 / リポ蛋白質 / 生合成 / 局在化 / 化学療法剤 |
Research Abstract |
大腸菌細胞表層の主要構成因子であるリポ蛋白質の局在化に関与するLolA、LolBの立体構造を明らかにした。両因子は疎水性のくぼみを持っており、この部分がリポ蛋白質の脂質部分と相互作用することが考えられた。LolAにはくぼみに対する蓋があり、この蓋の開閉がLolAの機能に重要な役割を果たしていることを立体構造と変異株の解析から明らかにした。リポ蛋白質特異的なABCトランスポーターLolCDEのサブユニットのひとつであるLolCがリポ蛋白質の選別シグナルを認識することを変異株の解析から証明した。+2位のアスパラギン酸が内膜残留シグナルとして機能する機構を化学修飾したリポ蛋白質を組み込んだ再構成系で詳細に解析した。この結果、リポ蛋白質のアスパラギン酸がリン脂質であるホスファチジルエタノールアミンと相互作用するためにLolCDEによって膜から遊離されないことを明らかにした。LolCDEのATPaseサブユニットであるLolDと膜サブユニットであるLolEの相互作用に重要な領域を決定し、サブユニット間の相互作用の重要性を示した。 外膜リポタンパク質YfiOが枯渇した細胞では外膜タンパク質の合成量が著しく減少することを見いだし、外膜タンパク質の生合成におけるYfiOの関与を明らかにした。また、YfiO蛋白質を過剰発現・精製し、in vitro実験系でYfiOがペリプラズムのシャペロンDegPを結合した外膜タンパク質と特異的に相互作用することを示した。この結果は、外膜タンパク質がDegPからYfiOへ受け渡されることを示唆している重要な知見である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Narita, S: "A Mutation in the membrane subunit of an ABC transporter LolCDE complex causing outer membrane localization of lipoproteins against their inner membrane-specificsignals"Mol.Microbiol.. 49. 167-177 (2003)
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[Publications] Takeda, K.: "Crystallization and preliminary crystallographic study of the outer membrane lipoprotein receptor LolB, a member of the lipoprotein localization factor"Acta.Cryst.. D59. 1224-1226 (2003)
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[Publications] Takeda, K.: "A practical phasing procedure of MAD method without the aid XAFS measurements"Acta.Cryst.. D59. 1440-1446 (2003)
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[Publications] Takeda, K.: "Crystal structures of bacterial lipoprotein localization factors, LolA and LolB"EMBO J.. 22. 3199-3209 (2003)
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[Publications] Hara, T.: "Mechanism underlying the inner membrane retention of E.coli lipoproteins caused by Lol avoidance signals"J.Biol.Chem.. 278. 40408-40414 (2003)