2004 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌の生育に必須の細胞表層蛋白質を標的とする化学療法剤開発の基礎研究
Project/Area Number |
15380056
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
松山 伸一 立教大学, 理学部, 教授 (50183108)
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Keywords | 大腸菌 / 細胞表層 / 外膜 / 内膜 / リポ蛋白質 / 生合成 / 局在化 / 化学療法剤 |
Research Abstract |
大腸菌リポタンパク質の膜局在化に関与する外膜受容体LolBに存在する5つのトリプトファン残基の機能を調べるために変異を導入した結果、52番目、117番目、148番目のトリプトファン残基がLolBの機能に重要であることが明らかになった。 100種のリポ蛋白質を過剰発現させて細胞表層にストレスを生じさせたところ、内膜リポ蛋白質YafYの過剰発現がペリプラズムのシャペロン蛋白質DegPを強力に誘導することを見いだした。この結果はYafYが表層ストレスを感知するモニターである可能性を示唆している。 大腸菌はpH9.1の環境で生育することができるが、10株以上のリポタンパク質遺伝子欠失変異株では著しい生育阻害が観察され、アルカリ環境下での生育に多くのリポタンパク質が関与していることを示す興味深い結果が得られた。これらの中からアルカリ環境下の生育に必須のリポタンパク質YcfMを見いだし、YcfMが枯渇すると溶菌することを明らかにした。この結果はYcfMが新しい化学療法剤の標的になりうることを示唆している。 外膜リポ蛋白質YfiOは外膜蛋白質の局在化に関与していることを昨年度の研究で明らかにした。本年度はより詳細な解析ができるin vitro実験系を構築することを試みた。OmpAのC末端膜貫通領域ペプチドを用いたin vitro実験系による生化学的な解析から、内膜を透過した外膜タンパク質はまずペリプラズムのシャペロンDegPと相互作用し、YfiOに受け渡されて外膜に組み込まれることを示唆する結果を得た。この結果は、タンパク質膜局在化の詳細な解析ができるプロテオリポソームを用いたin vitro実験系の構築が可能であることを示唆しており、化学療法剤スクリーニング系構築の基礎となる。
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Research Products
(6 results)