2003 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌キチン合成酵素と相互作用するタンパク質の網羅的同定・解析とその有効利用
Project/Area Number |
15380057
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀内 裕之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00209280)
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Keywords | キチン合成酵素 / Aspergillus / ミオシン / 隔壁 / アクチン |
Research Abstract |
我々はすでに糸状菌Aspergillus nidulansの5種のキチン合成酵素遺伝子(chsA-chsD、csmA)について遺伝子破壊などの手法によりその機能解析を行ってきた。本プロジェクトでは、これら遺伝子の内主要なものについてその遺伝子産物の存在をタンパク質レベルで確認し、細胞内での存在状態、存在部位の検討を行うとともに、これら遺伝子産物と相互作用するタンパク質を網羅的に解析し利用することを目的とした。本年度はまずchsA、chsB、chsCのORFのN末端近傍にそれぞれHA、GFP、FLAGのタグをつけたもの(以下それぞれHA-ChsA、GFP-ChsB、FLAG-ChsCと呼ぶ)を野生型酵素の代わりに発現できる株を作製し、これらがfunctionalであることを確認した。さらにその細胞内存在部位について解析したところChsAは菌糸隔壁に、ChsCは菌糸隔壁と菌糸先端に主に局在することが示唆された(GFP-ChsBについては現在検討中)。ChsAとChsCは類似の機能を持つことが推定されていたため、HA-ChsAとFLAG-ChsCを同時に発現できる株を作製し検討したところ、これらは隔壁において一部共局在することが明らかになった。またChsA、ChsCは、一部翻訳後修飾を受けていることが推定された。一方CsmAについてはC末にHAのタグをつけたCsmA-HAについて細胞内での存在部位を検討したところ、主に菌糸先端と隔壁に存在し、その局在は細胞極性の形成に関わるタンパク質であるアクチンと類似のものであった。さらにCsmAのミオシン様ドメインがアクチンと結合できること、その結合を不可能にするような変異を持つCsmAはfunctionalではなくその細胞内での存在部位にも異常が見られたことから、CsmAのミオシン様ドメインがアクチンと結合することがCsmAの機能に必須であることが示された。
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