2005 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌RNaseGの機能解析とmRNA安定性制御によるタンパク質発現系の構築
Project/Area Number |
15380059
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
和地 正明 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教授 (90192822)
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Keywords | RNase G / RNase E / Hfq / FtsZ / ストレス防御 / RNA代謝 / adhE |
Research Abstract |
大腸菌のエンド型リボヌクレアーゼRNase Gは16S rRNAの成熟と一群のmRNAの分解に関与している。RNase GによるmRNAの安定性制御のメカニズムを明らかにするために、RNase GのadhE mRNAに対する作用を調べた。その結果、RNase GによりadhE mRNAの-17部位で切断が起きることを見いだした。一方、-31部位でRNase IIIによる切断が起きるとRNase Gが作用できなくなることがわかった。RNase GとRNase IIIの活性のバランスがadhE mRNAが分解されるか、翻訳されるかを決定していると思われた。また、エンド型リボヌクレアーゼRNase Eは大腸菌の生育に必至であるが、その原因は不明であった。RNase Eの温度感受性変異rne-1をhfq変異が抑制することを見いだした。rne-1 hfq二重変異株のRNA代謝を調べたところ、細胞分裂タンパク質FtsZをコードするmRNAのプロセシング異常がrne-1変異の致死性の原因であることが明らかになった。RNase Eによる切断を受けないftsZ mRNA前駆体からの翻訳がHfqにより阻害されていた。ftsZ mRNAが翻訳されるか、分解されるかをRNase EとRNA結合タンパク質Hfqのバランスが決定していると思われた。このようなRNA代謝の制御により遺伝子発現が調節を受けているものを探索した結果、酸耐性に関わる遺伝子群や酸化ストレス防御に関わる遺伝子を見いだした。rne-1変異株やhfq変異株は酸や酸化ストレスに対する感受性が増大していた。これらのことから、細菌細胞ではこのようなRNA代謝の制御による遺伝子発現の調節がかなり広汎に行われていることが推測された。
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Research Products
(6 results)