2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15380064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原島 俊 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70116086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 嘉信 大阪大学, 大学院・・工学研究科, 助教授 (90161182)
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Keywords | 酵母 / 最小ゲノム / 染色体分断 / 遺伝子破壊 |
Research Abstract |
出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)には染色体が16本あり、100kb以下の大きさの染色体は細胞分裂時に高頻度で脱落する。従って、染色体を多数の小さな染色体に分断することができれば、この特徴を利用して、培養条件に応じて生存に不要な染色体領域を除去し、多様なゲノム組成を持つ出芽酵母細胞を創製できると考えられる。まず、テロメア様配列と任意の分断標的配列を付与したプライマーを用いてPCRを行うことにより、簡便に分断用DNA断片を調製できるPCR-mediated chromosome splitting (PCS)法を開発した。本法を用いて、繰り返し分断を行い、3系統の分断株M1、M2、M3株を作製した。M1株は染色体数が43本となり、脱落可能領域を14箇所(合計524kb 257ORFs)持つ。M2株は染色体数が30本であり、脱落可能領域を7箇所(233kb 99ORFs)持つ。またM3株は染色体数が31本となり、10箇所(360kb 143ORFs)の脱落可能領域を持つ。これらの株を栄養培地で培養することによって染色体の自然脱落を誘導し、その脱落パターンを解析した。その結果、M1株系統では29コロニーを調べて13パターンが、M2株系統では128コロニーを調べて19パターンが、またM3株系統では30個のコロニーを調べて11パターンが観察された。これらの多様なゲノム組成を持つ株の中には、M1株系統で最大270kb 131ORFsが脱落した株、M2株系統では最大162kb 66ORFsが脱落した株、そしてM3株系統では最大135kb 63ORFsが脱落したものが得られた。これらの結果から、染色体の分断と脱落によって多様なゲノム組成を持つ酵母株を作成する方法論が、ほぼ確立したと結論した。 ミニ染色体の脱落/保持を制御することができれば、さらにゲノムの多様化を加速できる。そこで、それぞれ、α-、またはβ-チューブリンをコードするTUB1〜TUB4遺伝子や、テロメアのサイレンシングに関与するZDS1及びZDS2を過剰発現することによって、ミニ染色体の脱落がどのように変化するかを解析した。その結果、チューブリンをコードする遺伝子を過剰発現するとミニ染色体の脱落が促進され、逆にZDS1及びZDS2を過剰発現させると、脱落頻度を抑制できることが分かった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Widianto D. et al.: "Creating Saccharomyces cerevisiae haploid strain having 21 chromosomes"J.Biosci.Bioeng.. 95. 89-94 (2003)
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[Publications] Auesukaree C. et al.: "Transcriptional regulation of phosphate-responsive genes in low-affinity phosphate-transporter-defective mutants in Saccharomyces cerevisiae"Biochem Biophys Res Commun.. 306. 843-850 (2003)
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[Publications] Mizuno T. et al.: "Gall1 is a general activator of basal transcription, whose activity is regulated by the general repressor Sin4 in yeast"Molecular Genetics and Genomics. 269. 68-77 (2003)
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[Publications] Nakagawa Y. et al.: "Merging of multiple signals regulating Δ9 fatty acid desaturase gene transcription in Saccharomyces cerevisiae"Molecular Genetics and Genomics. 269. 370-380 (2003)
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[Publications] Sugiyama M. et al.: "Repeated chromosome splitting targeted to sequences in Saccharomyces cerevisiae"Journal of Bioscience and Biotechnology. 96(4). 397-400 (2003)
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[Publications] Okuda Y. et al.: "Occurrence, horizontal transfer and degeneration of VDE intein family in Saccharomycete yeasts"Yeast. 20(7). 563-573 (2003)