2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15380064
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原島 俊 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70116086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 嘉信 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90161182)
西沢 正文 慶応義塾大学, 医学部, 講師 (20218150)
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Keywords | 酵母 / 最小ゲノム / 染色体分断 |
Research Abstract |
申請者らが開発した出芽酵母の染色体を任意の部位で効率よく分断できるPCS法(PCR-mediated Chromosome Splitting)を用いて、第V番染色体(575kb)、第X番染色体(745kb)、第IX番染色体(440kb)、第XIV番染色体(784kb)を、それぞれ9断片(41、84、22、116、28、61、28、175、20kb)、4断片(49、558、104、35kb)、5断片(57、263、27、62、32kb)、2断片(38、746kb)に分断した。この染色体分断株を栄養培地で培養し、ミニ染色体の脱落を誘導させることで、ミニ染色体の様々な脱落パターンを示す酵母株を創製することができた。これらのミニ染色体脱落株のうちゲノムが最小のものでは、合計191kb(94ORFs)のミニ染色体が脱落していた。 このゲノムの大規模改変技術をさらに発展させるためには、ミニ染色体の脱落を自在に制御する必要がある。そこで、多コピーでミニ染色体を安定化させる遺伝子を探索した。スクリーニング法として、ADE3を含むミニ染色体を持つ、ade2 ade3株に多コピーゲノムライブラリーを導入し、コロニーカラーアッセイによりミニ染色体の脱落頻度が低下する形質転換体を単離した。ade2株(赤色コロニー)とade2 ade3殊(白色コロニー)の色の違いにより、ADE3を持つミニ染色体の細胞分裂時の伝達頻度を視覚的に観察できる。ade2 ade3殊にADE3を持つミニ染色体が存在すると細胞は赤くなり、ミニ染色体が失われると赤いコロニーの中に白色のセクターが生じることから、白色のセクターの割合がミニ染色体の脱落頻度を反映する。スクリーニングによって得られた形質転換体より単離したプラスミドから遺伝子を同定した結果、機能が未知のYCR041W遺伝子であることがわかった。YCR041Wを多コピーで導入することで、ミニ染色体の脱落率は1/6に低下した。また、この脱落率の低下と共に、一細胞あたり約13コピーあったミニ染色体が約8コピーに減少した。このことは、ミニ染色体の娘細胞への分配の精度が上がったことを表していると考えられる。以上の結果から、染色体の分断と脱落によってゲノム組成を大規模に改変できること、また本研究で同定したYCR041W遺伝子がミニ染色体安定化技術の開発に有用であることがわかった。
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Research Products
(6 results)