2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15380064
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原島 俊 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70116086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 嘉信 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90161182)
西沢 正文 慶應義塾大学, 医学部・微生物学, 講師 (20218150)
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Keywords | 酵母 / 染色体分断 / 染色体の分配 / 遺伝子発現 / セントロメア / 最少ゲノム |
Research Abstract |
本年度は、本研究の目的のひとつである機能重複が予想される遺伝子の機能解析技術の確立を最終的な目的として、ミニ染色体が、細胞分裂時に、なぜ、高頻度で脱落するかの解析を行った。 複製した染色体をそれぞれ1コピーずつ正確に娘細胞に分配する機構は、生物種の保存に必須である。出芽酵母において染色体長が減少すると、娘細胞への正確な分配が損なわれる。このことから、染色体の安定維持には一定の染色体長が必要であることが示唆されている。これまで我々は、染色体を任意の箇所で分断することにより、様々な長さの染色体を作成する技術の開発を行ってきた。この技術を用い、各種の遺伝子について、1遺伝子のみを持つおよそ6-8kbのミニ染色体を作成した。これら1遺伝子染色体の1世代当りの脱落率、ゲノム当りのコピー数を測定し、安定性を評価したところ、脱落率は約0.2、コピー数は約10であり、高い不安定性を示した。また、コピー数が上昇しているにもかかわらず、脱落率が高いことは、1遺伝子染色体では染色体不分離の頻度が高いことを示唆した。さらに、MET3、STE2遺伝子を持つ1遺伝子染色体において、遺伝子発現時と抑制時の脱落率を比較した結果、セントロメアに対する転写の方向にかかわらず、遺伝子発現時は、脱落率が抑制時の約1.5倍に上昇することがわかった。天然の染色体において、細胞分裂時に重要な機能を果たすセントロメア周辺には、高発現する遺伝子が存在しないことが知られている。したがって、ミニ染色体上の遺伝子発現が染色体の安定維持に影響を与えることを示した本研究の結果は、天然の染色体においても、セントロメア近傍にある遺伝子の発現が安定性に影響を与える可能性を示唆している。
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Research Products
(6 results)