2003 Fiscal Year Annual Research Report
自己調節ペプチドAmfSによる放線菌の形態分化と二次代謝誘導制御
Project/Area Number |
15380066
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
上田 賢志 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (00277401)
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Keywords | Symbiobacterium thermophilum / 共生 / 共生因子 / Bacillus / 環境依存性 |
Research Abstract |
Streptomyces griseusのamfS遺伝子破壊株は気中菌糸形成及び抗生物質生産能を欠損している。それは、amfSにコードされるペプチドがこの菌の分化と二次代謝の開始に必須の機能と役割を有しているからであると予想される。そこで、S.griseus野生株の培養上清からamfS遺伝子破壊株の分化を回復させる活性を有するペプチドを単離・精製した。精製は培養上清のエタノール沈殿画分から出発し、3段階の逆相クロマトグラフィーによって行った。得られたペプチドのN-末端配列は、エドマン分解によりT-G-X-Qであることが明らかになったが、5残基以降は何らかの修飾が原因で完全にブロックされていた。MASSスペクトルにより分子量は2,214Daと決定された。これらの結果とAmfSの一次配列を照合すると、精製されたペプチドはAmfSの22番目のThrの前で切断されたC末端側の領域がさらに何らかの修飾を受けて分子量が72Da減少した分子であることが強く示唆された。精製ペプチドのアミノ酸分析では、予想される配列のうちSer/4残基とCys/2残基が存在していないことが示された。従って、これらの残基において何らかの修飾が起こっているものと推定される。また、これらの残基はS.coelicolor A3(2)ならびにS.avermitilisのorthologにおいても保存されていた。以上の性状は、S.coelicolor A3(2)の気菌糸誘導ペプチドSapBのそれと酷似しており、AmfSとSapBが同一分子であることを強く示唆する結果となった。
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