2004 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチンシステムによる核内レセプター不活性化機構の解析
Project/Area Number |
15380067
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柳澤 純 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (50301114)
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Keywords | エストロゲンレセプター / ユビキチン化 / 分解 / 転写 |
Research Abstract |
核内レセプターは、ビタミンA, D,ステロイドホルモン、脂質、コレステロール代謝物などの脂溶性物質をリガンドとする転写因子である。近年、レセプターのユビキチン化とプロテアソームでの分解が、転写活性化に重要であることが示唆され、注目を集めている。本研究では、核内レセプターの一つであるエストロゲンレセプターに着目し、その分解機構を分子レベルで解析した。エストロゲンレセプターは女性ホルモンであるエストロゲンを受容するレセプターであり、α、βの2つのサブタイプ(ERα、β)が存在する。本研究では、ERαがエストロゲン存在下でも非存在下でも、ユビキチン・プロテアソーム系によって分解を受けることを明らかにした。エストロゲン非存在下では、ERαはCHIPと呼ばれる蛋白質によってユビキチン化を受け、分解されることが示された。CHIPはhsp70/hsp90/hsp40などのシャペロン蛋白質と複合体を形成し、フォールディングに異常のあるレセプターを選択的にユビキチン化し、分解へと導くことにより、レセプターの品質を向上する役割を担っていることが明らかとなった(EMBO J. Y. Tateishi et al.,2004)。一方、ERβは、ERαと同じくエストロゲン依存的分解を示すものの、その分子機構はERαと異なることが判明した。ERβの分解には、N末端に存在する領域が必須であり、この領域を持たないERβ変異体は、エストロゲン依存的な分解を示さなくなる。本研究者らは、すでにこの領域を認識して結合するユビキチン・リガーゼの単離に成功しており、解析を進めている。また、エストロゲン依存的な分解を示さないERβ変異体も転写活性を示すことから、レセプターの転写活性に分解は必要でないことが示唆された。
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Research Products
(5 results)