2005 Fiscal Year Annual Research Report
バイオプローブを用いたサイトカインレセプターのシグナル伝達における分子機構の解明
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15380069
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
片岡 孝夫 東京工業大学, バイオ研究基盤支援総合センター, 助教授 (20242307)
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Keywords | シクロヘキシミド / アセトキシシクロヘキシミド / カスパーゼ8 / アポトーシス / エポキシシクロヘキセノン / RKTS-33 / 細胞傷害性T細胞 / Fasリガンド |
Research Abstract |
タンパク質合成阻害剤アセトキシシクロヘキシミド(E-73)は、ヒト急性白血病細胞Jurkat細胞において、c-Jun N-terminal kinaseに依存したシトクロムcのミトコンドリアから細胞質への放出を誘導し、アポトーシスを誘導する。本研究では、E-73によるシトクロムcの放出のシグナル伝達機構について解析した。野生型Jurkat細胞に比較して、カスパーゼ8やFADDを欠損したJurkat細胞では、E-73によるアポトーシスが遅延した。さらにカスパーゼ8やFADDを欠損したJurkat細胞をE-73で処理すると、野生型Jurkat細胞に比較して、カスパーゼ3やカスパーゼ9のプロセシングならびにミトコンドリアからのアポトーシス誘導因子(シトクロムc、AIF、Smac/DIABLO)の放出が抑制された。以上の結果から、E-73によるアポトーシスの誘導機構には、FADDやカスパーゼ8が関与し、ミトコンドリアに至るアポトーシスシグナルを増幅していることが明らかとなった。 細胞傷害性T細胞(CTL)はパーフォリン依存性経路およびFasリガンド依存性経路によってウイルス感染細胞や腫瘍細胞を殺傷する。エポキシシクロヘキセノン誘導体ECHは、Fasリガンド依存性のアポトーシスや細胞傷害経路を特異的に阻害するが、培養細胞を本物質で長時間培養した場合には細胞毒性が観察される。本研究では、ECHに比較して、より細胞毒性が低いRKTS-33を合成し、その生物活性について検討した。RKTS-33は、CTLによるFasリガンドの発現誘導を抑制しなかったが、CTLによるFasリガンド依存性の細胞傷害経路を強く阻害し、RKTS-33がCTLの機能ではなく、標的細胞のアポトーシスを特異的に抑制していることが明らかとなった。一方、RKTS-33はCTLによるパーフォリン依存性の細胞傷害経路を阻害しなかった。これらの結果から、RKTS-33は、CTLの細胞傷害機構において、Fasリガンド依存性経路の特異的な阻害剤であることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)