2003 Fiscal Year Annual Research Report
新プロテアーゼファミリーの発見に基づく致死性遺伝病に関わるCLN2の生化学的解析
Project/Area Number |
15380072
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
小田 耕平 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (50081584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平賀 和三 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助手 (50252549)
尾山 廣 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (50221700)
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Keywords | 致死性遺伝病 / セリン-カルボキシルプロテアーゼ / CLN2 / 新プロテアーゼファミリー / セドリシン |
Research Abstract |
本研究の目的は、申請者が発見した新規プロテアーゼファミリー、セドリシンの内、哺乳動物起源のCLN2について的を絞り、生化学的、及び、構造生物学的な検討を加えることである。CLN2は、致死性遺伝病、バッテン病の発症に関与するヒト脳リソソーム酵素であり、極めて重要な生理機能を持つ。本研究で得られた成果は、未だ不明な点が多い病態発症メカニズムの解明に役立つと共に、治療薬開発にも貢献するものと考えられる。以下に、本年度の研究実績を示した。 (1)CLN2に保存されたSer280残基の機能解析 CLN2には、本ファミリーに特有のcatalytic triad、Ser-Glu-Aspが保存されている。この内、Ser280の能を明らかにするべく、Ala改変体を作成した。カイコ・バキュロウイルス系で発現したS280Aは、酵素活性が消失し、Ser280が触媒残基のひとつであることを蛋白工学的に示した。 (2)CLN2のサブサイト構造解析 CLN2は、本ファミリー内で唯一のトリペプチジルペプチダーゼである。このCLN2のサブサイト構造を推定するべく、基質特異性を調べた。CLN2は、オクタペプチドには作用せず、Ala-Arg-Phe^*Nph-Arg-Leu(^*、切断点;Nph、p-ニトロペニルアラニン)などのヘキサペプチドに作用した。以上より、CLN2の活性クレフトは、オクタペプチドを分解する細菌由来の酵素群に比べて短く、S_3からS_3'の6つのサブサイトで構成されていることが分かった。 (3)CLN2の立体構造解析 野生型CLN2(成熟型)をカイコ・バキュロウイルス系で多量生産し、精製酵素を得た。現在、X線構造解析が進行中である。また、細菌由来の酵素の立体構造を基に、CLN2の分子モデルを構築した。CLN2のS_3ポケットに存在するAsp132残基が基質のアミノ末端と相互作用し、トリペプチジルペプチダーゼ活性の発現につながることが予想された。他の酵素では、Asp132残基に相当する残基がGly残基などである。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tsuruoka, N: "Collagenolytic serine-carboxyl proteinase from Alicyclobacillus sendaiensis strain NTAP-1 : purification, characterization, gene cloning, and heterologous expression"Appl.Environ.Microbiol.. 69・1. 162-169 (2003)
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[Publications] Wlodawer, A.: "Structural and enzymatic properties of the sedolisin family of serine-carboxyl peptidases"Acta Biochim.Pol.. 50・1. 81-102 (2003)
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[Publications] Wlodawer, A.: "A model of tripeptidyl-peptidase I (CLN2), a ubiquitous and highly conserved member of the sedolisin family of serine-carboxyl peptidases"BMC Struct.Biol.. 3・1. 8 (2003)
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[Publications] 小田 耕平: "新規プロテアーゼファミリーsedolisinの構造と機能"バイオサイエンスとインダストリー. 61・8. 11-16 (2003)
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[Publications] Wlodawer, A.: "Two inhibitor molecules bound in the active site of Pseudomonas sedolisin : a model for the bi-product complex following cleavage of a peptide substrate"Biochem.Biophys Res.Commun.. 314・2. 638-645 (2004)
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[Publications] 小田 耕平: "新規プロテアーゼファミリー、セドリシンの発見"科学と工業. 78・4. 1-7 (2004)