2004 Fiscal Year Annual Research Report
テルペン関連合成酵素の機能解析および新規機能性環化酵素の創製
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15380081
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
星野 力 新潟大学, 農学部, 教授 (30165542)
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Keywords | terpenoids / alteration of terpene cyclase / site-directed mutagenesis / genetic code / incorporation of unnatural amino acid / Mycobacterium tuberculosin / substrate specificity / Alicyclobacillus acidocaldarius |
Research Abstract |
平成16年度の本研究成果を要約すると下記の点が挙げられる。 1.スクアレン環化酵素による反応は末端メチル基からの脱プロトンにより終止する。推定の脱プロトン化部位に位置する10個のアミノ酸残基(Thr41,Glu45,Glu93,Arg127,Trp133,Gln262,Pro263,Tyr267,Phe434およびPhe437)を標的にした変異型酵素を作成し、生成物の分布や速度論定数を解析した。最終中間体ホパニルカチオンのイソプロピル基における脱プロトン化において、Gln262とPro263が"front water"を適切な場所に配置し、ホパノールやhop-21(22)-eneの様な副生成物の形成を抑えるために有効に働くことが判明した。また、"back waters"を取り巻く水素結合ネットワークの構成アミノ酸残基(Thr41,Glu45,Glu93,Arg127およびTrp133)は、"back waters"を通して"front water"を高度に分極化させ、脱プロトン化の反応速度を促進するために重要であることが解った。Biosci.Biotechnol.Biochem.68,728-738(2004). 2.重水素スクアレンを合成し、C(22)-Z-Meから脱プロトンすることを証明した。また、末端メチル基の環化反応に果たす役割を究明するために、末端メチル基が欠如したアナログを合成し、環化反応を調べた。E環が6員環の構造が主生成物となり、HOMO-LUMO相互作用により、その環化反応が規制されることを証明した。Org.Biomol.Chem.2,1456-1470(2004). 3.スクアレンは規則正しい位置にメチル基を持つ。各種のメチル基位置異性体を合成し、メチル基の役割を更に追求した。7位、14位にMeが存在すると環化反応が著しく阻害されること、及び18位に存在すると環化反応がマルコフニコフ則に従って環化反応が進行することなどを明らかにした。Org.Biomol.Chem.2,2012-2022(2004).. 4.スクアレン環化酵素が短鎖のアナログでも環化するかどうか検討した。C10環化せず、C15はかなりの高収率で反応すること、C20やC25は反応収率があまり高くないこと等を明らかにした。Org.Biomol.Chem.2,2650-2657(2004) 5.スクアレン環化酵素のG600を欠如するとスクアレンでは全く反応せず、3S-オキシドスクアレンは反応し、3R-体は全く反応しなかった。これは、真核生物のオキシドスクアレン環化酵素の基質特異性に類似した環化酵素を始めて創製した例となった。Angew.Chem.Int.Ed.48,6700-6703(2004). 6.結核菌にジテルペン環化酵素が存在することを始めて証明し、tuberculosinolと命名した。この遺伝子は病原性結核菌のみに存在することを見いだし、興味深い知見を得た。Chem.Commun.1016-1018(2004).
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Research Products
(6 results)