2004 Fiscal Year Annual Research Report
オミックス解析を基盤とする栄養と遺伝子発現制御系の相互作用の解明
Project/Area Number |
15380090
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 久典 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (40211164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉澤 史昭 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (10269243)
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Keywords | トランスクリプトミクス / プロテオミクス / 遺伝子発現 / 転写因子 / インスリン / データベース / 食餌タンパク質 / アミノ酸 |
Research Abstract |
各種網羅的生命現象(オミックス)に対する栄養条件の影響を解析するなかで、トランスクリプトーム解析についてはアミノ酸の効果をさらに詳細に検討した。前年度HepG2細胞におけるロイシン欠乏や全アミノ酸欠乏による遺伝子発現プロファイルの変化を明らかにしたが、今年度はアミノ酸欠乏からアミノ酸を再添加した際の応答を解析した。アミノ酸欠乏による変化の多くが再添加によって打ち消された。mTOR阻害剤ラパマイシンを用いた解析により、再添加への応答においては、欠乏への応答よりもmTORへの依存度が高いことが示唆された。アミノ酸欠乏時のプロテオミクスレベルでの変化を調べたところ、ubiquinol-cytochrome c reductaseや翻訳制御因子eIF3およびeEF1δなどの顕著な減少が見出された。ラット肝臓において、タンパク質栄養の悪化によって変化するタンパク質も同様に解析した。無タンパク質食やグルテン食でカゼイン食に比べて再現性良く変化したタンパク質を13個同定したが、コレステロール代謝、抗酸化、尿素回路等のタンパク質が含まれていた。核内での存在量に限って解析を行ったところ、glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenaseがタンパク質栄養により核内に増加することが明らかとなった。一方アミノ酸欠乏が生体に及ぼす様々な影響のうち、インスリンシグナルの増強に注目した。アミノ酸欠乏やタンパク質栄養低下によって、IRS-1のセリン脱リン酸化が誘導されることを見出したが、これには脱リン酸化酵素活性の上昇が関与していることが示唆された。ニュートリゲノミクスデータベースの充実を図り、数百個の文献データを掲載したほか、マイクロアレイデータの集積も進めた。http://a-yo5.ch.a.u-tokyo.ac.jp/index.phtmlにて公開した。
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Research Products
(3 results)