2005 Fiscal Year Annual Research Report
オミックス解析を基盤とする栄養と遺伝子発現制御系の相互作用の解明
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15380090
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 久典 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (40211164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉澤 史昭 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (10269243)
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Keywords | ニュートリゲノミクス / トランスクリプトーム / データベース / 遺伝子発現 / アミノ酸 / 大豆タンパク質 / 低アレルゲン化小麦粉 / 食品の安全性 |
Research Abstract |
昨年度に公開したニュートリゲノミクスデータベースについて、機能強化とデータの充実を図った。文献情報に関しては全文検索機能を付加した。多くのトランスクリプトミクスデータの追加を行った。さらに、組織特異的発現解析や発現量ランキング表示機能などデータ解析機能を追加して、これらは公開前のテスト運用まで行った。食品がトランスクリプトミクスに及ぼす影響解析の一部として、アミノ酸過剰の効果を検討した。ロイシンやメチオニンの過剰について調べ、前者は窒素代謝系の遺伝子に幅広く影響を及ぼすこと、後者はヘム代謝系への影響が大きいことなどを明らかとした。一方イソロイシンの生体への投与は、糖取り込みを促進することを見出した。さらに、大豆タンパク質摂取による遺伝子発現レベルでの影響を、大豆タンパク質と他のタンパク質の混合食給餌において検討し、実際の食生活に近い条件での特定のタンパク質食摂取の影響を調べた。20%カゼイン(C)食、20%大豆タンパク質(S)食、20%グルテン食(G)、CとS各10%の混合食、GとS10%ずつの混合食をラットに2週間給与し、マイクロアレイ解析を行った。脂肪酸代謝関連やコレステロール代謝関連の多くの遺伝子がGやS食で変動しこれまでの結果が確認され、これらの遺伝子の変化は混合食でも若干弱まる傾向はあったが多くは維持され、他のタンパク質が存在した場合も脂質代謝改善効果は認められることがわかった。最後に、トランスクリプトミクスを用いた食品の安全性解析の可能性を探るため、低アレルゲン化小麦粉の摂取の効果を肝臓と小腸のDNAマイクロアレイ解析により検討した。一週間および2ヶ月間の低アレルゲン化小麦粉食摂取において、原料小麦粉食と比較して変動した遺伝子はごく少なく、安全性が確認された。一週間摂取においてインターフェロンγ応答性遺伝子の上昇がいくつか認められ、経口免疫寛容への関連が示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Safety evaluation of a hypoallergenic wheat flour using DNA microarray.2006
Author(s)
Narasaka, S., Endo, Y., Fu, ZW., Moriyama, M., Arai, S., Abe, K., Kato, H.
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Journal Title
Biosci.Biotechnol.Biochem. 70(印刷中)
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[Journal Article] Transcriptomics and metabolomics of dietary leucine excess.2005
Author(s)
Matsuzaki, K., Kato, H., Sakai, R., Toue, S., Amao, M., Kimura, T.
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Journal Title
Journal of Nutrition 135
Pages: 1571-1575
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