2005 Fiscal Year Annual Research Report
食餌由来脂溶性異物の生体作用と内因性防御機構の解析
Project/Area Number |
15380091
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
内田 浩二 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (40203533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森光 康次郎 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (00244533)
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Keywords | 脂溶性異物 / 脂質酸化物 / アルデヒド / 解毒酵素 / モノクローナル抗体 / 免疫化学 / 野菜 / ファイトケミカル |
Research Abstract |
生体異物は第一相解毒酵素により水溶化され、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)等の第二相解毒酵素により無毒化される。特に第二相解毒酵素の発現誘導は、異物に対し高い抵抗性をもたらすと考えられている。近年、ワサビ由来成分6-methylsulfinylhexyl isothiocyanate (6-HITC)の第二相解毒酵素誘導能が報告されている。こうした背景をもとに、本年度は、6-HITCによる詳細な解毒酵素誘導機構の解明を目的とし、ラット肝細胞由来RL34細胞を用いて実験を行った。当研究グループでは、これまでに6-HITC処理によるNrf2の核内移行及びGSTの発現誘導を確認している。本研究において、DNAマイクロアレイによる予備解析を行った結果、数多くの遺伝子の発現変化を確認した。特に予想通りGST等の第2相解毒酵素の網羅的な発現増強が顕著に見られた。そこで、第2相解毒酵素の遺伝子発現において中心的なシグナル伝達機構を担うNrf2-Keap1 systemに着目し、Nrf2及びKeap1の過剰発現系を用いた検討を行った結果、各種GSTアイソザイムのうち、GST-P1のみNrf2及びKeap1の過剰発現の影響をほとんど受けないことが判明した。この結果は、プロテアソーム阻害剤での選択的GST-P1誘導と良い相関を示すものであり、6-HITCなど第2相解毒酵素誘導物質が、その標的としてプロテアソームに作用しうることを示唆するものである。実際、6-HITCなど第2相解毒酵素誘導物質は一般的に強いプロテアソーム阻害効果を示す。本研究において得られた成果は、新しい解毒分子機構の一部を説明しうるものとして興味深い。
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Research Products
(2 results)