2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15380093
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北畠 直文 京都大学, 農学研究科, 教授 (30135610)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桝田 哲哉 京都大学, 農学研究科, 助手 (80311744)
|
Keywords | 甘味 / 甘味タンパク質 / 卵白リゾチーム / ソーマチン |
Research Abstract |
卵白リゾチームならびにソーマチンの甘味発現機構解明を目的として研究を行った。卵白リゾチームに関しては、分子の片面に局在する複数個のリジン残基ならびにアルギニン残基が甘味発現に関与していること、およびそれらの残基間の相互作用を重点的に検討した。その結果、残基間の相互影響の効果が見出される例も観察されたが、多くの場合、個々のアミノ酸残基の荷電が重要な役割を果たしていることを示すことが明らかになった。ソーマチンに関しては、卵白リゾチーム同様、ソーマチン分子の片側に局在するリジン残基、アルギニン残基の役割が大きいことを確認した。化学修飾ならびに部位特異的変異の結果、変異により甘味を200倍低下させるアルギニン残基を見出した。卵白リゾチームの甘味閾値は数マイクロモル近傍にあり、一方、ソーマチンの甘味閾値は50マイクロモル付近である。すなわち、ソーマチンの特異的アルギニン残基に変異を入れることのより、甘味はリゾチームの同様の閾値になった。また、先のピリドキサールリン酸による化学修飾実験によって、荷電のみならず、その構造自体が甘味発現に重要な意味があることが認められていた特異的リジン残基は、部位特異的変異によるアラニン置換によってさほど大きな甘味閾値の変化は認められなかった。これは、このリジン残基が上記の特異的アルギニン残基の近傍に存在し、そのリジン残基が比較的大きい分子であるピリドキサールリン酸で修飾されたため、ピリドキサールリン酸の官能基が先のアルギニン残基に影響を与え、結果的に甘味の閾値を大きく増大させたものと理解できた。また、塩基性アミノ酸残基以外のアミノ酸残基についても検討を行った。チロシン残基の影響を調べた結果、化学修飾によって影響が認められていたチロシン残基が部位特異的変異法によっても確認された。このアミノ酸残基も先のリジン、アルギニン残基同様、ソーマチン分子の片面に局在していた。
|
Research Products
(3 results)