2003 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンAによる脳機能制御機構の解析と栄養学的応用への試み
Project/Area Number |
15380096
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
舛重 正一 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (70078153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜田 聡 東京農業大学, 応用生物科学部, 助教授 (80301547)
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Keywords | ビタミンA / レチノイン酸 / 核内受容体 / 情動 / 精神疾患 / セロトニントランスポーター / 転写制御 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
本年度は,核内受容体群と情動行動制御の関連に着目し,核内受容体群と情動行動制御の関係に関して研究を進めた。まず、エストロゲン受容体あるいはレチノイン酸受容体あるいはエストロゲン受容体のアゴニスト投与後のマウスの情動行動解析を行った結果、Open field testでは探索行動の減少、elevated zero maze testでは不安行動の減少、Social dominance tube testでは社会的優位性の増加が観察された。さらに、これら核内受容体群の脳内における情動行動制御機構を明らかにするために、レチノイン酸あるいはエストロゲン受容体の野性型あるいはドミナントネガティブ変異型を前脳特異的に過剰発現するマウスの作製を進めた。作製した野性型エストロゲン受容体過剰発現マウスの情動行動解析を行った結果、変異型マウスの情動状態は、エストロゲン受容体のアゴニスト投与時とほぼ同様の性状を示した。以上の解析結果から、脳に発現するエストロゲン受容体をはじめとする核内受容体群が不安行動を中心とした情動をコントロールしているものと考えられた。現在、他の変異型マウスに関して、解析を進めている。一方、これら受容体群を介した情動行動制御の分子メカニズムを明らかにするために、アゴニスト群投与後に発現量が変化する遺伝子群の検索を行い、セロトニントランスポーターmRNA量がアゴニスト投与後に有意に減少することを明らかにした。さらに、この遺伝子のプロモーター解析を行い、転写開始点から約200塩基上流にレチノイン酸に負に応答するエレメントの存在を明らかにした。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 喜田 聡, 鈴木章円, 遠藤健悟, 佐度恵: "転写調節因子CREB活性化による記憶固定化能力の向上"BIO INDUSTRY. 20(11). 14-24 (2003)
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[Publications] 喜田 聡, 加藤健一, 岩本拓, 伊藤元則: "分子内・分子間FRETを利用した生細胞内分子動態のリアルタイムイメージング"日本農芸化学会誌. 77. 432-436 (2003)
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[Publications] 喜田 聡, 細田浩司: "ビタミンAによるサーカディアンリズム制御"FOOD style. 21. 59-63 (2003)
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[Publications] 喜田 聡: "「脳と栄養-行動の分子基盤を求めて」において「ビタミンによる脳機能制御」を執筆(斉藤昌之, 鳥居邦夫, 青山頼考責任編集)"日本栄養食料学会監修. 255 (2003)