2004 Fiscal Year Annual Research Report
アリルスルフィドによる細胞周期制御とその作用機序についての研究
Project/Area Number |
15380097
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
有賀 豊彦 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (50096757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 泰一郎 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (20187834)
熊谷 日登美 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (20225220)
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Keywords | allyl sulfide / tubulin / apoptosis / LC-MS / MS / cancer |
Research Abstract |
ガーリックやオニオンなどのネギ属植物は、特有の硫黄化合物を産生し、抗がん活性などの様々な生理作用を示す。昨年度までに、ネギ属植物の香気成分である含硫化合物、特にalk(en)yl trisulfidesが、ヒト大腸がん細胞株HCT-15の増殖を抑制することを明らかにした。そこで本年度は、ガーリック香気成分であるdiallyl trisulfide(DATS)のアポトーシス誘導機構とそのメカニズムについて検討した。 1.DATSのアポトーシス誘導機構の解析 DATSのアポトーシス誘導機構について活性酸素生成系に及ぼす影響を中心に検討した。ヒト大腸がん細胞株HCT-15および、いくつかのがん細胞の活性酸素生成とミトコンドリア膜電位の変化について、それぞれ2'-7'-dichlorofluorescein diacetateとDiOC6(3)をプローブとして検討した。細胞内グルタチオン濃度は、monochlorobimaneを基質とした蛍光法により測定した。その結果、DATSを処理したがん細胞において活性酸素の生成は認められなかった。また、ミトコンドリアの膜電位や細胞内グルタチオン濃度にもDATSは影響を及ぼさなかった。したがって、DATSによるヒト大腸がん細胞における細胞周期の停止やアポトーシスの誘導は、活性酸素生成を介さないことが示唆された。 2.DATSが細胞骨格に及ぼす影響の解析 DATS処理した大腸がん細胞の光顕観察像で紡錘糸の形成阻害が示唆された。そこで、ブタ大脳より精製したチューブリンの重合・脱重合におよぼすDATSの影響を解析したところ、DATSはチューブリンの脱重合を促進した。また、DATSはチューブリン分子を修飾することをLC-MS/MSにより明らかにした。チューブリンの脱重合促進によるアポトーシス誘導機構について検討を行っている。
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Research Products
(2 results)