2003 Fiscal Year Annual Research Report
天然林施業における伐採対象樹種の遺伝的多様性保全法の確立
Project/Area Number |
15380100
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井出 雄二 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90213024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清藤 城宏 山梨県森林総合研究所, 副所長(研究職) (40359245)
吉丸 博志 独立行政法人森林総合研究所, 生態遺伝研究室長(研究職) (20353914)
宝月 岱造 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 教授 (10107170)
齊藤 陽子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (00302597)
後藤 晋 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 講師 (60323474)
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Keywords | 天然林 / 施業 / 遺伝的多様性 / Picea / Abies / Betula / マイクロサテライトマーカー / 開発 |
Research Abstract |
エゾマツ、トドマツの更新機構解明のため、東大北海道演習林内に試験地を設定し、成木および倒木更新実生とその他実生とを記録し収集した。両種のマイクロサテライトマーカー(以下SSRマーカー)をそれぞれ7個および5個作製した。また、アカエゾマツの集団遺伝学的特徴を明らかにするため、同演習林内の5集団についてDNA解析用サンプルを採取し個体位置の測定を行った。次いで、トウヒ属に有効なSSRマーカーがアカエゾマツにも有効であることを確認した。森林の分断化によって、モミの繁殖にどのような影響があるかを明らかにするため、孤立木および人工交配対象候補木の選定を行った。また、個体間の遺伝的な距離を測るために必要な17個のSSRマ-カーを開発した。 ウダイカンバについて、ゲノミックライブラリーからの濃縮法により7個の多型的なSSRマーカーを開発した。これらのマーカーとシラカンバのマーカーを用いてウダイカンバの分布域全体について、遺伝的多様性を検討し、本州中部と東北・北海道の集団の間に遺伝的分化が生じていることを確認した。また、ウダイカンバとシラカンバの雑種形成状況を調査した。それぞれに特異的なDNAマーカー11個を取得し、これらにより外部形態が両種の中間的な個体を判別した結果、いずれも純粋なシラカンバもしくはウダイカンバと判定され、これらは葉の外部形態と一致していた。オノオレカンバについて、他のカバノキ属樹木で開発されたSSRマーカーを適用して、山梨県内と東大学秩父演習林の計5集団において遺伝的多様性を調査した結果、いずれも任意交配集団とみなすことができた。一方、集団間の地理的距離と遺伝的距離の間には一定の傾向は認められなかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nakagawa M: "The regeneration characteristics of Picea jezoensis and Abies sachalinensis on cut"Forest Ecology and Management. 180. 353-359 (2003)
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[Publications] Ogyu K: "Identification and characterization of microsatellite loci in Betula maximowicziana Regel"Molecular Ecology Notes. 3. 270-273 (2003)
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[Publications] 後藤 晋: "ウダイカンバとシラカンバに種特異的なDNAマーカーの探索"日林北支論. 52. 54-56 (2003)
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[Publications] 井出雄二: "ウダイカンバの遺伝的多様性"北海道の林木育種. 46・2. 17-20 (2003)
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[Publications] 西川浩己: "オノオレカンバの持続的利用における育種及び保全に関する計画"北海道の林木育種. 46・2. 5-8 (2003)
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[Publications] 宝月岱造: "森林共生系,鈴木和夫編「森林の百科」"朝倉書店. 739 (2003)