2004 Fiscal Year Annual Research Report
森林生態系の炭素・窒素蓄積メカニズムの解明とその潜在的炭素・窒素蓄積量の推定
Project/Area Number |
15380105
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
徳地 直子 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助教授 (60237071)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大手 信人 京都大学, 農学研究科, 助教授 (10233199)
廣部 宗 宮崎大学, 農学研究科, 助教授 (20363575)
|
Keywords | 森林土壌 / 安定同位体 / soil organic matter |
Research Abstract |
森林土壌は多くの炭素・窒素を土壌有機物(SOM : Soil Organic Matter)として蓄積している。森林土壌中のSOMは全球的な物質循環過程においても重要な位置を占め、その動態把握は重要であると考えられる。SOM中の安定同位体組成は、起源植生や土壌中で受けた作用を反映する事からSOM動態把握に有用である。そこで、本研究では炭素・窒素蓄積機構を明らかにするために安定同位体を用いて、森林土壌中のSOM動態把握を行った。 調査は京大フィールド研和歌山研究林のスギ人工林内で行い、120cmまでの土壌サンプルと表層リターを採取した。試料は風乾後、炭素・窒素濃度(TC・TN)、安定炭素・窒素同位体組成(δ^<13>C・δ^<15>N値)を分析した。 全層位を通して、深度と共にTC、TNは低下傾向、δ^<13>C、δ^<15>N値は増加傾向を示した。 さらに、濃度・同位体比の傾向の変化から土壌プロファイルを上下2層に分離でき、上層で特に強い傾向を示した。これらの結果から、本調査地では特に上層において炭素・窒素の分布に分解が強く影響している事が示唆された。一方、下層においてTC、TNは緩やかに低下し、δ^<13>C値も低下傾向を示したが、δ^<15>N値は深さに伴う有意な傾向を示さなかった。この違いをδ^<13>C値から推定した古植生起源有機物の存在割合、Isotopic discrimination factorを合わせて検討した結果、土壌下層では上層とは異なり分解以外の要因が強く影響している可能性が示唆された。さらに、森林土壌中の炭素動態を把握する際には長期間蓄積されている有機物を考慮することが必要な場合がある事も合わせて示唆された。
|
Research Products
(1 results)