Research Abstract |
1.琉球列島総合植物目録の作成(新本) 沖縄県の主要島嶼の沖縄島,宮古島,石垣島,西表島を対象に,既往の著書を用いて植物分布のデータベース化をはかり,これを「琉球列島総合植物目録」として取りまとめた。データベースは一覧表とし,著書別に学名,科,属,種,分布域,固有,北限・南限,在来・外来,広域・狭域,に分類し,さらに資源植物的・民族植物的な要素を取り入れた利用・用途(I.II.III類),未利用別に分類・記載した。自生の在来植物は各著書ともほぼ類似の構成を示し,島嶼別に科,属,種ともに,沖縄島において最も多く,ついで西表島,石垣島,宮古島の順に多かった。 2.西表島と石垣島の天然林の群落構造と資源植物(新里) 西表島と石垣島の天然林分布地を地形上から低地-山地-谷地に分け,それらの群落構造と資源植物を調査した。プロットサイズは400m^2を基準に,立木1m高以上の毎木調査と植生高1m以下(草本層)の出現種と優先度・群度の測定,及び構成種の資源利用について既存資料調査を行った。西表島では谷地は浦内川渓流沿いのハマイヌビワ,フカノキ,オキナワウラジロガシなど天然混生林,山地は仲良川上流部に分布するオキナワウラジロガシの優占林で板根形成がみられた。石垣島では谷地は於茂登岳中腹部のイタジイ優占林,山地は北側野底岳のイタジイ優占とする照葉樹林であった。天然林は熱帯・亜熱帯要素の植物が多く,未経済植物及び有望な経済植物によって構成された。 3.天然林固定試験地の森林遷移調査(安里) 沖縄本島北部のイタジイを主体とする典型的な亜熱帯性天然広葉樹林に,20m×20mの固定試験地を設定して胸高直径3cm以上の立木を対象に林分構造及びその変移状況等を調査した。本年度(2005年)は4プロットについて毎木調査を行った。調査林分の林齢は60〜65年,ha当たり立木本数は4,475〜8,725本,出現樹種数は19〜36種,平均胸高直径は7.6〜9.1cm,平均樹高は6.7〜7.1m,ha当たり立木幹材積は200〜434m3,相対幹距は8.6〜12.6%で,総体的に過密で出現樹種も多く,小径・中下層に本数が多く偏った林分であることがわかった。
|