2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15380116
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
磯貝 明 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40191879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 拡邦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30261960)
鮫島 正浩 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30162530)
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Keywords | セルロース / TEMPO / 酸化 / ポリウロン酸 / 機能化 / 分子量 / 分子量分布 / セロウロン酸 |
Research Abstract |
TEMPO触媒酸化では再生セルロースおよびアルカリで膨潤させたマーセル化セルロースでは、水溶性で均一な構造を有するポリグルクロン酸であるセロウロン酸をほぼ定量的に与えることが判明している。一方、天然セルロースをTEMPO触媒酸化した場合には、水溶性のセロウロン酸は得られない。この差異の機構を明らかにするため、リンターを出発試料としてTEMPO触媒酸化を検討し、以下の結果が得られた。 (1)酸化処理の進行とともに、セルロース繊維は横方向に切断され、微細な粉末に変化する。 (2)酸化剤である次亜塩素酸ナトリウムの添加量および反応時間によるセルロース中のカルボキシル基量、アルデヒド基含有量、水酸化ナトリウム消費量、収率当の変化を検討し、処理条件によって収率が最大で20%程度低下すること、カルボキシル基含有量は0.8mmol/g程度まで増加すること、一方アルデヒド基含有量は0.3mmol/g程度になること、水酸化ナトリウム消費量は反応初期においてはカルボキシル基量とアルデヒド基量の合計量に等しいことなどが明らかになり、天然セルロースに対する反応機構を明確にすることができた。 (3)リンターにTEMPO触媒酸化した場合の結晶構造変化を調べたところ、結晶構造、結晶化度、結晶サイズともに、酸化処理の進行によってカルボキシル基量は明瞭に増加していても、ほとんど一定であり、TEMPO触媒酸化によるカルボキシル基の導入が結晶表面に限られていることが明らかになった。 (4)リンターをTEMPO触媒酸化した残渣成分の分子量を粘度法とSEC-MALLS法によって検討した結果、粘度法ではDPv=500から反応初期にレベルオフDPvである200程度に低下していた。一方、SEC-MALLS法では1133から959程度に低下するのみであった。これは、粘度法測定での弱アルカリ性条件下で、セルロースに導入されたアルデヒド基部分でのβ脱離反応が原因であることが示された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Shibata, I., Isogai, A.: "Nitroxide-mediated oxidation of cellulose using TEMPO derivatives : HSPEC and NMR analyses of the oxidized products"Cellulose. 10. 335-341 (2003)
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[Publications] Shibata, I., Isogai, A.: "Depolymerization of cellouronic acid during TEMPO-mediated system"Cellulose. 10. 151-158 (2003)
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[Publications] Kato, Y., Matsuo, R., Isogai, A.: "Oxidation process of water-soluble starch in TEMPO-mediated system"Carbohydrate Polymers. 51(1). 69-75 (2003)
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[Publications] 磯貝 明: "パルプ表面にカルボキシル基を入することによるシート物性制御"紙パルプ技術タイムス. 46(7). 1-6 (2003)
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[Publications] 磯貝 明: "セルロースの科学"朝倉書店. 174 (2003)