2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15380116
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
磯貝 明 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40191879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鮫島 正浩 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30162530)
小野 拡邦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30261960)
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Keywords | セルロース / TEMPO / 酸化 / ポリウロン酸 / 機能化 / 固体NMR / 表面改質 / セロウロン酸 |
Research Abstract |
本年は、特に天然セルロースのTEMPO触媒酸化について、リンターセルロースを用い、酸化条件と得られる酸化物の化学構造、官能基量、収率、固体構造解析等を詳細に検討し、以下の結果が得られた。 (1)酸化条件を選択することによりリンターセルロース中のカルボキシル基量は最大0.8mmol/gまで導入することができる。これは元のリンターセルロースの約35倍量に達する。 (2)一方、アルデヒド基量は最大0.3mmol/gの導入が可能であり、これは元の1000倍に達する。 (3)酸化の進行とともに、繊維状水不溶成分として回収される固形分量は減少するが、最も過激な酸化条件でも80%は固形分として回収可能である。 (4)TEMPO触媒酸化によりカルボキシル基が導入されるために、保水値(水膨潤性)が向上する。 (5)TEMPO触媒酸化を進めてカルボキシル基およびアルデヒド基を導入しても天然セルロース1の結晶化度および結晶サイズは変化しない。この結果は、導入されたカルボキシル基およびアルデヒド基は結晶表面と非晶領域のみに存在していることを示している。すなわち、これらの官能基はセルロースミクロフィブリル表面に高密度に存在していることになる。これらの分布状態については、SEM-EDXによるマッピング分析およびTEMによる対イオン(鉛)の分布状態からも説明できた。 (6)一方、TEMPO酸化中間体として存在するアルデヒド基は、繊維間、繊維内の水酸基間でヘミアセタール結合を形成することが可能である。従って、TEMPO触媒酸化した製紙用セルロースパルプから手すきシートを作製して評価したところ、著しい湿潤紙力の発現が認められた。従来の湿潤紙力剤にはPRTR法に抵触する物質が含まれているため、新しい環境にやさしい湿潤紙力発現技術をして詳細な条件を検討している。
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Research Products
(7 results)