2003 Fiscal Year Annual Research Report
餌料起原フリーラジカルの魚類の病理と生体防御に及ぼす影響
Project/Area Number |
15380135
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉越 一馬 長崎大学, 水産学部, 教授 (00039728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金井 欣也 長崎大学, 水産学部, 助教授 (40145222)
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Keywords | シマアジ / クエ / 稚魚 / 給餌率 / 消化器官 / 組織障害 / 大量死 |
Research Abstract |
本年度は、シマアジ及びクエ稚魚を用いて成長、生残及び体組織構造に及ぼす給餌率の影響を検討した。シマアジ及びクエ稚魚(飼育試験開始時の平均体重はそれぞれ30.7及び6.2g)を用い、シマアジは16週間、クエは10週間飼育した。水温はそれぞれ魚種で19.6-27.6℃、18.8-25.2℃の範囲であった。餌料は市販のドライペレットを使用し、給餌率は飽食区、体重の2.5%及び1.5%区とした。得られた主な結果は以下の通りである。(1)いずれの魚種においても給餌率が高いほど成長が速かった。(2)飽食区の給餌率はシマアジでは6週以降、クエでは4週以降顕著に低下した。(3)試験期間中の累積死亡率は、シマアジでは0%、クエでは21.6%であり、クエの死亡は9週以降に集中的に発生した。(4)シマアジ飽食区では粘膜固有層を含む腸上皮の広範な壊死と膵臓腺房細胞の壊死が飼育6週あたりから、クエでは4週あたりから顕著に観察され、給餌率の低下と関係していることが示唆された。なお、消化器官の障害は2.5%および1.5%区では明らかに軽微であるかあるいは認められなかった。(5)クエ飽食区では8週以降に顕著な肝障害が認められ、血管壊死を端緒とする臓器壊死の様相を呈した。この時期における大量死は肝障害によるものと推定された。シマアジではこのような肝臓組織の広範な壊死は認められず、脂肪変性が主な病変であった。(6)シマアジ飽食区では8週目あたりから腹腔内に顕著な脂肪蓄積が認められ、16週目には体重の2%以上に達したが、クエでは最大でも0,3%以下に止まった。両魚種の消化器官の病変は給餌率に依存していると考えられ、餌料起原のフリーラジカル(ラジカル発生源は過酸化脂質)の作用に起因する可能性が高いと推定された。
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