2004 Fiscal Year Annual Research Report
餌料起原フリーラジカルの魚類の病理と生体防御に及ぼす影響
Project/Area Number |
15380135
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉越 一馬 長崎大学, 水産学部, 教授 (00039728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金井 欣也 長崎大学, 水産学部, 教授 (40145222)
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Keywords | ブリ幼魚 / クエ稚魚 / 過酸化脂質 / 生体防御能 / 給餌率 / 肝臓重量 |
Research Abstract |
本年度は、ブリ幼魚及びクエ稚魚を用いて成長、生残、肝臓重量及び生体防御機能に及ぼす過酸化脂質投与の影響を検討した。ブリは海面小割り生簀と陸上タンクの両者で、クエは陸上タンクで飼育した。過酸化脂質は酸化したリノール酸メチル(POV=2300meq/kg)を用い、市販のペレット飼料に0%(無添加区)、0,2%(低濃度区)、または1%(高濃度区)の割合で添加した。ブリ、クエともに陸上タンク飼育では低濃度区は設定しなかった。給餌率は海面飼育及び陸上飼育の何れにおいても、飽食区(1日2回給餌)と制限区(ブリでは1日当たり体重の3%、クエでは2.5%量を2回に分けて給餌)を設定した。飼育期間はブリでは8週間、クエでは10週間とした。飼育水温は海面飼育では25.1-29.1℃、陸上飼育では25.1-28.6℃であった。なお、生体防御機能の測定は海面飼育のブリについてのみ行った。得られた主な結果は以下のとおりである。(1)何れの試験区においても異常な死亡は発生しなかった。(2)陸上タンク飼育のブリでは、飽食区において過酸化脂質投与が成長を抑制する傾向が認められたが、海面飼育のブリ及びクエでは認められなかった。(3)クエでは、飽食区及び制限区ともに肝臓重量が著しく増加したが、この変化は飽食区でより速やかに進行した。(4)ブリ連鎖球菌Lactococcus garvieae KG-株のホルマリン死菌接種によるKG+、KG-株に対する凝集抗体価は、4週後では各試験区で差が認められなかったが、8週後では高濃度・制限区で有意に低下していた。(5)白血球の活性酸素産生能(殺菌作用)は、4週後では飽食区、制限区ともに無添加区、低濃度区、高濃度区の順に低くなる傾向を示し、8週後では低濃度・制限区、高濃度・飽食区、高濃度・制限区は他の3区に比べ有意に低かった。以上の結果から、餌料に含まれる過酸化脂質は、成長に影響を及ぼさない濃度でも、生体防御機能を低下させることが明らかとなった。
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