2005 Fiscal Year Annual Research Report
餌料起原フリーラジカルの魚類の病理と生体防御に及ぼす影響
Project/Area Number |
15380135
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉越 一馬 長崎大学, 水産学部, 教授 (00039728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金井 欣也 長崎大学, 水産学部, 教授 (40145222)
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Keywords | ブリ幼魚 / クエ稚魚 / 過酸化脂質 / 給餌率 / 腸 / 肝臓 / 細胞病理 |
Research Abstract |
本年度は、前2ヵ年に実施したブリ幼魚及びクエ稚魚の飼育試験において採材された組織試料について、光顕及び電顕を用いて、過酸化脂質投与と給餌率に起因する消化器系の病理変化を検討した。病理検査を行った試験区は、飽食区(1日2回給餌)と制限区(ブリでは1日当たり体重の3%を、クエでは2.5%を2回に分けて給餌)とし、それぞれについて過酸化脂質(リノール酸メチル、POV=2300meq/kg)を餌料に0または1%添加した合計4区であった。試料の採材はブリでは0、4、8週後に、クエでは0、4、6、8、12週後に行った。光顕用の試料は20%ホルマリンで固定し、常法にしたがってエタノールで脱水後、パラフィンに包埋し、厚さ3μmの切片を作製した。切片はマイエルのヘマトキシリン・エオシン染色を施し観察に供した。電顕用の試料は2%パラフォルムアルデヒド-2.5%グルタルアルデヒド(0.1Mカコジル酸緩衝、pH7.3)液で固定し、2%オスミウム酸で後固定を行い、エタノールで脱水し、Spurrのレジンに包埋した。厚さ0.5μmの切片は0.5%トルイジン青で染色して光顕観察に、超薄切片は酢酸ウラニル-クエン酸鉛二重染色を施し、電顕観察に供した。過酸化脂質添加区では、腸上皮にブレッブの形成と壊死が認められ、肝細胞では顕著な壊死が認められた。電顕観察の結果、過酸化脂質添加区の肝細胞ではミトコンドリア内区画の電子密度の増加、小胞体膜やミトコンドリア外膜などの膜構造の不鮮明化、細胞膜の断裂などが観察され、細胞の膜系の傷害が細胞壊死の原因であると推定された。これらの病変は飽食区でより顕著であった。過酸化脂質非添加区では、飽食区で軽微ではあったが類似の病変が認められ、市販の配合飼料による飽食飼育がフリーラジカルによる病変を引き起こす可能性が示唆された。
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