2003 Fiscal Year Annual Research Report
水産無脊椎動物セルラーゼの一次構造と起源に関する研究
Project/Area Number |
15380138
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
尾島 孝男 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (30160865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 啓之 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助手 (90241372)
岸村 栄毅 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (50204855)
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Keywords | セルラーゼ / 水産無脊椎動物 / 一次構造 / 遺伝子 / アワビ / ホタテガイ / ウニ / セルロース |
Research Abstract |
本年度は、当初の計画通り軟体動物のエゾアワビおよびホタテガイ、棘皮動物のキタムラサキウニの中腸腺および消化液からセルラーゼを単離した。エゾアワビからは、分子量66,000と54,000のアイソザイム(それぞれHdEG66およびHdEG54と称する)が得られた。HdEG54のN-末端16残基のアミノ酸配列は、HdEG66の触媒領域に相当する142〜157残基部分の配列と完全に一致し、このことからHdEG54はHdEG66のN末端のCarbohydrate-binding module(CBM)を欠損した触媒領域だけから成るセルラーゼ・アイソフォームであると結論された。また、ホタテガイ中腸腺からは分子量63,000のセルラーゼPyEG63が得られた。PyEG63のN末端アミノ酸配列は、アワビHdEG66のN末端配列と約70%の同一性を示したことから、PyEG63はHdEG66と同様、N末端にCBMを持つと考えられた。これらの結果より、軟体動物にはN末端にCBMを持つものと持たないものの2つのタイプのセルラーゼが存在することが明らかとなった。一方、キタムラサキウニからは、分子量約54,000のセルラーゼSuEG54を単離できた。SuEG54のN末端配列はシロアリおよびアワビ・セルラーゼの触媒領域の配列と約72%および56%の同一性を示したことから、N末端にCBMを持たないタイプのセルラーゼであると結論された。一方、これらのセルラーゼのN末端アミノ酸配列に基づき合成したDNAプライマーを用いて、PCRによりcDNAを増幅した。現在までに、アワビHdEG66およびHdEG54のcDNAを取得し、その塩基配列から全アミノ酸配列を演繹した。また、ホタテガイPyEG63とキタムラサキウニSuEG54については、PCRによりそれらのcDNAを増幅し、現在その塩基配列の解析を進めている。
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Research Products
(1 results)