2005 Fiscal Year Annual Research Report
水産無脊椎動物セルラーゼの一次構造と起源に関する研究
Project/Area Number |
15380138
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
尾島 孝男 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (30160865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸村 栄毅 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 助教授 (50204855)
田中 啓之 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 助手 (90241372)
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Keywords | セルラーゼ / 水産生物 / 無脊椎動物 / 一次構造 / 遺伝子 / アワビ / ホタテガイ / ウニ |
Research Abstract |
最終年度の17年度は、これまでに単離した無脊椎動物のセルラーゼ、すなわちエゾアワビ・セルラーゼ(HdEG66およびHdEG53)、キタムラサキワニ・セルラーゼ(SnEG54)、およびホタテガイ・セルラーゼ(PyEG49)のセルロース分解活性を詳細に比較し、その基質結合サブサイト構造の差異を調べた。すなわち、重合度2〜6のセロオリゴ糖を上記のセルラーゼで分解した結果、アワビとホタテガイのセルラーゼはセロトリオースをセロビオースとグルコースに分解可能であったが、ウニのセルラーゼはセロテトラオースをセロビオースに分解できるものの、セロトリオースを全く分解できなかった。このことから、アワビやホタテガイのような軟体動物のセルラーゼのサブサイトの大きさはセロトリオース単位に相当するが、ウニのような棘皮動物のセルラーゼではセロテトラオース単位に相当すると推定された。これらは、無脊椎動物セルラーゼの分子進化とセルロース分解活性の関連を探る上で重要な手掛かりになると考えられる。また、ホタテガイ・セルラーゼについてはMALDI-TOF/TOFマススペクトル分析により、その分子断片のde novo配列分析を行い、プロテインシーケンサーにより分析したN末端配列情報とともに合成した縮重DNAプライマーを用いてcDNAをクローン化した。それによれば、ホタテガイ・セルラーゼもアワビやウニのセルラーゼと同様、glycoside hydrolase family 9 (GHF9)に属することが明らかになった。本研究でクローン化された、アワビ、ウニ、ホタテガイのセルラーゼのcDNAから演繹されるアミノ酸配列は、シロアリやザリガニなどの節足動物のセルラーゼの配列と52〜57%程度の相同性を示したことから、これらのセルラーゼ遺伝子が、少なくとも節足動物、軟体動物、棘皮動物の分岐年代以前に存在していたと推定した。
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Research Products
(3 results)