2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトデ類の自切を誘導する生体成分の構造と機能に関する研究
Project/Area Number |
15380140
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
浪越 通夫 東京海洋大学(東京水産大学), 海洋科学部, 教授 (30189196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 宏史 東京海洋大学, 海洋科学部, 助教授 (50291026)
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Keywords | キヒトデ / 自切 / 自切促進因子 / APF / 神経系 / 体腔液 |
Research Abstract |
ヒトデ類には捕食者による攻撃や物理的障害で傷ついた腕を自切する種類がいる。人為的に自切させたヒトデ体腔液中に、自切を誘導する物質、(自切促進因子,APF)があることが分かった。そこで、東京湾のキヒトデのAPFの単離を行った。 生物検定は、キヒトデをプラスチック製のバットの中央に置き、海水を入れない状態で1本の腕に検定液を注入する方法で行った。幅長が約5cmのものを用い、試料は腕の先から約3分の1の位置に放射神経に触れない様に注意して注射した。 熱水で自切させたキヒトデの体腔液を遠心分離して上清をとり、凍結乾燥してAPFを含む固体を得た。これをトヨパールHW-40でゲルろ過し、7つのフラクションに分けた。各フラクションの自切誘起活性を調べた結果、1つの溶出ピーク(Fr.6)のみに活性が見られた。Fr.6はHPLCで主に4つのピークを与えたので、内径20mmのカラムで分取を繰り返し、ピークを別々に分取したフラクション(Fr.6-1〜Fr.6-4)と各ピークの前後を集めたフラクション(Fr.6-5)に分離した。 各フラクションの生物検定を行おうとしたが、2003年の春に数回起こった赤潮と青潮の影響でキヒトデが沿岸から姿を消してしまったため、しばらく生物検定試験が行えなくなってしまった。そこで、その間にはFr.6のHPLCによる分離のみを行い、Fr.6-4が構造決定できるだけの量を単離することができた。構造解析の結果、Fr.6-4はxanthineと同定した。生物試験用のキヒトデが復活してから、Fr.6-4とxanthineの標品を用いて自切の誘起活性を調べたが、全く活性はなかった。 そこで、HPLCで得たその他のフラクションの活性を調べた所、Fr.6-2が自切を誘起した。現在は、Fr.6-2の構造決定に向け、必要量の分取を行っている。
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