2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトデ類の自切を誘導する生体成分の構造と機能に関する研究
Project/Area Number |
15380140
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
浪越 通夫 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (30189196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 宏史 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (50291026)
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Keywords | 自切 / マヒトデ / Asterias amurensis / 自切誘導因子 / APF / 体腔液 / 筋収縮 / コラーゲン組織 |
Research Abstract |
日本沿岸に棲息するマヒトデ(Asterias amurensis)は捕食者に襲われたり物理的に傷付いた時に、障害を受けた腕を切り離す能力をもつ。本研究は東京湾と陸奥湾のマヒトデを対象に、自切誘導の刺激が加えられてから腕が切り離されるまでの経過の観察、自切中のヒトデの切片標本の作成と光学顕微鏡観察、および自切を誘起する生体成分(自切誘導因子、APF)の分離を行った。 1.自切過程の観察 東京湾のマヒトデは陸奥湾のものよりも自切しやすい。マヒトデの腕にAPFを含む溶液を注射し、口側と反口側の両方からビデオ撮影して外部変化を観察した。また、開裂部の組織切片の顕微鏡観察を行った。外部観察より、自切の始めに反口側の体表のコラーゲン組織の軟化が起こり、次に口側の歩帯板が断裂することが分かった。この時、ヒトデは自切させる足を固定し、表皮のコラーゲン組織を引きちぎる行動を示した。組織切片の観察では、歩帯板をつなぐ筋肉の異常な収縮が観察された。このことから、歩帯板の断裂は、歩帯板問をつなぐ筋組織の逆向収縮により、コラーゲン組織からなるじん帯が引き割かれることによって起こると考えられる。 2.APFの分離 マヒトデをオートクレープバックに入れ、加熱して自切させて得られる体腔液を正常なマヒトデの腕に注射すると自切が誘導されるので、加熱処理した体腔中にAPFが放出される。自切を観察する生物検定試験を指標にして、ゲルろ過クロマトグラフィー、次いで高速液体クロマトグラフィーを繰返すことによりAPFを分離した。ほぼ単一のピークを示す画分が自切を誘導することを突き止め、この物質のHPLC分取を繰り返して^1H及び^<13>CNMRスペクトルを測定した。この物質はニコチンアミドの誘導体と考えられるが、最終構造の決定は現在進行中である。
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Research Products
(1 results)