2004 Fiscal Year Annual Research Report
海藻レクチンの生物活性、活性発現機構および構造活性相関に関する研究
Project/Area Number |
15380143
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
堀 貫治 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (50116662)
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Keywords | 海藻 / レクチン / 癌細胞 / レセプター / ニワトリ抗体 / 糖鎖 / 簡易精製法 |
Research Abstract |
1.ヒト大腸癌由来培養細胞HT29の海藻レクチンレセプターの同定 紅藻トゲキリンサイのレクチン(ESA-2)はヒト癌培養細胞37系列のすべての増殖を抑制することから、本レクチンレセプターがヒト癌培養細胞表面に広く存在する可能性が示唆された。そこで、まずヒト大腸癌由来培養細胞HT29の本レクチンレセプターを単離・同定を試みた。すなわち、ESA-2との結合反応および非結合反応に付したHT29の各膜標品から調製した膜可溶画分を、それぞれSDS-PAGEおよびウエスタンブロッティングに供し、タンパク質染色、抗ESA-2抗およびビオチン標識ESA-2を用いるレクチン染色に付し、両者の比較からESA-2-レセプター複合体バンドを検出した。同複合体をQIT-MS解析に供し、本レクチンレセプターを同定した。今後、他癌細胞膜における同レセプター分子の存在を調べる予定である。 2.固定化海藻レクチンによるニワトリ型モノクローナル抗体の簡易精製法の構築 ニワトリ抗体の有用性が注目されているが、ニワトリ抗体は哺乳動物抗体と異なり、抗体精製用リガンドのプロテインGやAに結合せず、その簡易精製法の開発が望まれていた。そこで、ニワトリ抗体の糖鎖を介した簡易精製法を開発することを目的として、6種海藻レクチンおよび7種陸上植物レクチン(市販品)とニワトリ抗体との相互作用を表面プラズモン共鳴法を用いて詳細に解析し、同抗体精製用リガンドとして2種類の海藻レクチンが有望であることを見いだした。さらに、これら海藻レクチンを固定化したアフィニティーカラムを用いることにより、抗体産生ハイブリドーマ上清からワンステップでニワトリ型モノクローナル抗体を高純度に精製できることを認めた。現在、同海藻レクチンのcDNAクローニングを終え、大量発現系の構築に関する研究が継続中である。
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