2005 Fiscal Year Annual Research Report
海藻レクチンの生物活性、活性発現機構および構造活性相関に関する研究
Project/Area Number |
15380143
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
堀 貫治 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (50116662)
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Keywords | 海藻 / レクチン / 抗HIV活性 / 糖鎖結合特異性 / レセプター / cDNAクローニング / ニワトリ抗体 |
Research Abstract |
1.紅藻キリンサイレクチン関係 紅藻トゲキリンサイレクチン(ESA-2)およびアマクサキリンサイレクチン(EAA-2)の抗HIV活性を、MT-4細胞を用いるMTT法で調べ、それぞれEC50=105および34nMの同活性をもつことを認めた。しかし、両者ともHIV非感染細胞に対しても細胞障害性を示すことから、それらの有効係数は高くなかった。 2.紅藻カギイバラノリレクチン関係 これまで不明であった紅藻カギイバラノリの3種イソレクチンの糖結合特異性について、110種類の供試糖鎖に対する結合性を、フロンタルアフィニティークロマトグラフィー法を用いて精査した。その結果、3種イソレクチンとも共通して、ある特定の糖残基を有する糖鎖とのみ、きわめて選択的に結合することを見出した。また、本レクチンの糖タンパク質に対する結合性をBIAcoreを用いて定量的に解析し、先の糖鎖に対する結合特異性を支持する結果を得た。本レクチンに見出された新規の糖鎖結合特異性は、医療をはじめとする種々の分野で活用されることが期待される。 本レクチンは多様な生物活性ときわめて強い赤血球凝集活性を示すことから、本科研費研究ですでに明らかにした新手法を用いて、本レクチンの赤血球膜レセプターの同定を試みた。その結果、本レクチンの赤血球レセプターとして種々の生物活性に関与する興味深い糖タンパク質を同定できた。この結果を基に、本レクチンの新しい生物活性の発見が期待される。 3.その他 ワトリ型モノクローナル抗体は狂牛病等の発病因子である悪性プリオンの早期検出試薬として有用であることが明らかにされているが、同抗体の簡易精製法が未解決であった。昨年度研究で、ある種の海藻レクチンをリガンドとするアフィニティー精製が有効であることを明らかにした。今年度は、同レクチンの完全長cDNAクローニングに成功するとともに、大腸菌での発現系を確立した。
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Research Products
(1 results)